メディア旭川 連載記事
世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』
第144杯「息子の武勇伝」
息子は、勉強が得意で、勉強方法について自分の型を持っているようです。中学生の時、予備校の模擬試験で、北海道で上位に入り、模擬試験の全国大会に招待され、保護者にも旅費宿泊費が主催者から支払われることから、東京まで付いていったことがあります。模試の間、保護者を対象とした説明会が開催されました。中身は、東大入試の傾向と対策、主催者予備校在籍者の東大合格実績等、東大一色でした。東大合格者の生活スケジュールがパワーポイントで紹介されると、参加していた父兄は一斉にスマホで撮影しており、居酒屋の写真を撮って喜んでいるぼくとは心がけが違うなと感心しました。
息子は、東京の開成高校を高校受験して合格しました。その1年前に開成高校の学校説明会に参加しました。まず、校長が出てきて、自校の教育方針の素晴らしさを述べ、出席者は拍手喝采。その後、40人位にグループ分けして、それぞれ3年生のクラス担任の先生を割り当てての説明会。生徒が超優秀だから、任せておけば結果を出してくれる。自分は日体大卒だが、自分のクラスから東大医学部に合格した生徒が何人もいる、と言っていました。生徒が自分で勉強して結果を出しており、学校教育の成果ではないと思いました。
息子は、開成高校を入学辞退して札幌南高校に進み、予備校の模試で上位の成績を取り、景品をゲットしていました。予備校で特待生となったので、あまり予備校に費用を支払わずに済みました。そして、東大文Ⅰに現役合格しました。
息子は、昨年の7月に大学2年生で司法予備試験短答式を受験し合格しました。一般教養科目で稼ぐ作戦が功を奏したようです。勉強開始から半年弱で合格したことになります。短答式に、勉強開始から3年、大学卒業3年目で初めて合格した、ぼくとは大違いです。
論文式試験は、憲法・民法・刑法以外は、ほぼ手付かずの状態だったので、受験しないとも言っていましたが、経験は来年に生きるからと受験させました。試験後「ワンチャンある」「合格に長い時間かける時代ではない」とか、強気の発言もありましたが、さすがに、不合格となりました。大学3年生となった今年も、短答式には合格して、論文式まで進んでいます。論文式については、手ごたえが良くないらしく、強気の発言もなくなりました。ですが、大学卒業後10年かかっている、ぼくに比べれば、まだ、全然ましです。

