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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第140杯「人生最高のアジフライ」

ぼくは、青魚、寿司ネタでいう「光り物」を好んで食べます。サバは焼きも良いですが、酢で締めた方が好みで(関西では「きずし」という)、きずしを食べに大阪の居酒屋に行ったり、京都の老舗に鯖寿司を食べに行ったりしています。関東より関西の方がしっかり締めています。江戸前寿司では、シンコ(新子)と呼ばれるコハダの小さいやつを何枚も使って一貫握るものが好きで、新子の季節(初夏)には食べに行きます。

アジもよく食べます。道民なのにシャケよりアジの方が美味しいと思っており、アジの干物を買いに小田原まで行ったことがあります。規格外のアジの干物が驚くほど安い値段で売っていました。本場のクサヤを求めて八丈島にも行きました。羽田から飛行機で50分ほどなので、意外と行きやすい。アジは食べ方が多彩で、アジの酢なめろう(なめろうを氷と酢につけたもの)を食べに房総半島の御宿町の駅から離れた山の上にある漁師料理の店に行ったことがあります。帰りは、店主に車で宿まで送ってもらいました。アジはフライにしても美味しく、醤油でもソースでもタルタルソースでも良く合うように思います。

司法浪人時代に神保町界隈の「味の双葉」という定食屋でアジフライ定食をよく食べました。思い出深い。最近、浅草の「水口食堂」でビールのアテにアジフライ540円をオーダーしたところ、3枚も出てきて驚きました。東京の大衆酒場は安い。

ママ1人でやっている、とあるスナックに入って、ハイボールをオーダーして飲んでいたところ、3席左に、おそらく、ぼくより年上の男性が1人で飲んでいました。ママと話しており、特に聞くつもりはなかったのですが、話が聞こえてきました。何でも、前の店で食べたアジフライが人生で最高のアジフライであり、銀座通り商店街の鮮魚店で仕入れたアジらしい、骨抜きが完璧だったなどと話していました。そして、今夜は、その余韻に浸りたいので、これからどこにも寄らないで帰ると言って、帰りました。

そこまで言うなら、よほど美味しいに違いないだろうと、ママにどこの店なのか聞いて、日を改めて行ってみましたが、その日は、アジの入荷がなかったのか、アジフライはメニューにありませんでした。その後、入院して手術を受けるなど、いろいろあって、忘れていたところ、本コラムを書いていて、思い出しました。再トライしてみようと思います。