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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第136杯「石の上にも三年」

10年にも及ぶ長い司法試験浪人生活の話は、ぼくの持ちネタであり、今さらという感じですが、最近は、子どもが大学受験で浪人することになった、浪人する本人はもちろん、親もメンタル厳しい、よくそんな長い期間メンタルもったなと、変な感心のされ方をします。そこで、ぼくの司法浪人生活を、メンタル面から今一度分析します。

ぼくが司法試験の勉強を始めたのは、大学4年生になる直前でした。大学4年生の5月に行われたマーク式の短答試験は、当然のごとく玉砕しました。それから翌年の短答試験までの1年間は、司法試験の勉強開始に出遅れた感があり、受験勉強自体が新鮮だったので、毎日、長時間勉強しても苦になりませんでした。素人受験生の状態からは脱しましたが、卒業1年目も短答試験に不合格となりました。ですが、まだまだ元気で、周囲の受験生の顔ぶれも不変であったこともあり、勉強を続けることができました。

ところが、卒業2年目も短答試験に合格せず、論文式試験を受験することさえできず、最終合格は夢のまた夢の状態に陥り、先が全く見えず、気ばかり焦って、どうしたら良いのか、わからない状態になりました。受験生活3年目は、司法試験続行に疑問を感じて意欲を欠く状態で、昼夜逆転、開店からパチンコに行き、帰宅して就寝、夜起きて勉強という生活をした時期もありました。そして、卒業3年目の短答試験に合格しなければ、もうやめようと思い、短答試験に絞って勉強しましたが、模試では合格推定点に届かず、正直、合格できないと思いました。それでも短答試験の直前40日は最後だと思って勉強し、開き直って受験したら、短答試験に合格しました。

ぼくの場合、1年目は気力充実して受験勉強を継続できる、2年目もそれなりに気力充実して勉強できる、成果が伴わないと3年目は気力が萎えてしまってメンタル厳しい状態になる、ということが分かります。「石の上にも三年」とは、「冷たい石の上に三年座っていれば石が暖まることから、最初はつらくても、長く辛抱していれば必ず成功する」ことの例えですが、3年間、何の成果も出ないのに、気力充実して勉強することは困難です。

ぼくの場合は、3年目はメンタル厳しかったのですが、開き直ったら短答試験に合格しました。少し成果が出たことで、先が見え、最終合格までさらに8年かかりましたが、何とかメンタルもちました。