メディア旭川 連載記事
世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』
第133杯「中東戦争」
中央大学は、司法試験合格者ランキングで東京大学を上回り、首位を独走していた時期があります。昭和26(1951)年に東大から合格者ランキング首位の座を奪い、以後、昭和45(1970)年まで20年連続、東大をおさえて首位をキープ。合格者が年間500人に満たない時代に、中大からは年間150人前後が合格し、合格者の3人に1人は中大だった時代があるのです。昭和40年前後の話であり、もう60年くらい昔の話なので、当時の合格者も高齢となり、亡くなったり、引退した人もいるでしょう。中大独走は、すっかり、都市伝説化してしまいました。
その後、昭和50年代までは、東大と首位争いをして(昭和48、57年に首位)、巷では「中東戦争」と呼ばれていました。それでも40年以上前の話です。
昭和50年代後半から中東戦争に早稲田大学も参入し、平成7年まで上位3校は同じです。司法制度改革の一環として受験3回以内の者優先枠導入(平成8年)以降、中大は順位を下げましたが、それでも5位以内におりました。
平成18(2006)年以降は法科大学院(ロースクール)を基準に合格者ランキングが発表され、中大ロースクールも何回か首位の年度がありましたが、次第にロースクールも大学のブランド(大学入試の偏差値)にしたがって学生が集まるようになり、中大出身者も中大ロースクールに進まなくなったので、中大出身者がどのくらい合格しているのかは正確にはわかりません。令和5年度は中大ロースクール90名の合格者で、中大の合格祝賀会に175名来たとのことですから、中大出身で他大のロースクールに進んだ者、予備試験経由で合格した者、合わせて少なくとも85名はいることになります。中大出身者が150名位合格しているのではないでしょうか。もっとも、東大は予備試験経由合格者が中大に比べ70名位は多いので、おそらく、ロースクール経由合格者とのトータルでは東大出身者は中大出身者よりも100名は多いものと思います。
昨年、ぼくが在籍していた中大法学部専門ゼミの2学年上の先輩が、袴田事件再審の裁判長を務め、1学年上の先輩が札幌地検の検事正に着任しました。この2人とぼくとは生年は同じです。数年前後しますが同時期に司法試験を受験して中東戦争(早大も参入)に参加していたことになります。ぼくは10年も受験しましたが、上記2人は早く合格しているので出世しました。現在58歳であり、お互いに年を取ったなと思います。