メディア旭川 連載記事
世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』
第120杯「究極の親孝行」
4年前に父親が亡くなり、母親は健在ですが、かなりの高齢者となりました。しかしながら、ぼくは、母親にゆっくりしてもらおうとは微塵も考えていません。むしろ、どしどしこき使うことで母親も元気に暮らせると思っています。
長男が今年の4月に東京大学に進学しました。長男に勉強を仕込んだのは、ぼくの母親(長男からみると祖母)なので、その功績を認めて、母親が好きな時に好きなだけ東京に滞在できるようにしました。母親は向こう見ずで、無茶な行動をする傾向があるので、言われなくても東京に行って、長男のところに転がり込むだろうと予想しており、それならば、最初から東京に部屋を用意することにしたのです。長男も祖母の学習計画にしたがって勉強し、受験した結果、高校は開成(東京)と札幌南に合格し、開成は辞退して札幌南に進学し、東大には現役合格できたので、祖母の受験指導は今のところ全部正解ということになり、東京まで祖母がついてくることに抵抗はないようです。
具体的には、世田谷区池尻に2LDKのマンションを借り、東大(駒場)まで徒歩で通えるようにしました。徒歩3分以内にスーパーマーケット「オオゼキ」、100円ショップ「キャンドゥ」やディスカウントスーパー「オーケー」があり、買物には困りません。マンションの3軒隣に図書館があるのでひまつぶしもできる、救急病院も近くにある、という理想的な住環境となりました。マンションの賃料は旭川市の2倍くらいかかりますが、すべてが近所なので交通費はかからず、1人で外出しても帰れないことはありません。スーパーマーケット通のぼくがみるところ、オオゼキの品ぞろえの良さはピカイチ(近くに住む先輩弁護士も毎日のように行くと証言)、オーケーは激安で急成長している企業なので食料品や日用品も良品が安い価格で手に入ります。当然のことながら暖房費は旭川市よりもはるかに安いので、トータルでみれば、諸費用は当初の予想よりも安く済んでいます。札幌市の中央区や西区円山公園で生活するより安いかもしれません。
結論として、近所に何でも揃っており、道に迷うこともない、1人分の生活費は安上がりで老人施設に入居するよりもおトクである、孫の世話をすることで気力が充実する、母親本人も非常に喜んでいるので、一石三鳥・四鳥の効果があると思っています。知人・友人からは究極の親孝行だと評価されています。