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北海道新聞 連載記事『朝の食卓』

マイナス思考

北海道新聞 連載記事『朝の食卓』


ぼくは、物事を悪い方向に考えるマイナス思考の人間です。でも、それで良いと思っています。司法試験浪人の頃、試験の結果待ちの期間は、不合格となることを想定して生活していました。そのため、不合格になっても比較的早く立ち直って、翌年の受験の準備を始めていました。マイナス思考のため、不合格は想定内であり、切り替えが早くできたのです。

言うのは簡単ですが、早く気持ちを切り替えることは難しく、優秀な人でも、不合格になって精神的に切れてしまい、司法試験をあきらめる人が相当数いました。ぼくは、マイナス思考のおかげで、精神的に切れることなく、時間はかかったけれど合格できました。

現在も相変わらずマイナス思考なので、法律相談をしていても、事態が悪い方向に進んだ場合を想定し、「見通しはあまり良くない」と回答して、相談者から「そのような弱気では困る」と叱られることがあります。それでも、ぼくは動じません。悪い事態を想定することで、依頼者が過度の期待をすることが少なくなり、「話が違う」と言われることも少なくなります(そもそも強気の相談者は、マイナス思考のぼくには依頼しません)。

マイナス思考は「結果は成るようにしか成らない」「ダメで元々」と開き直った状態となるので、プレッシャーが少なく、良い結果を目指して全力投球することができます。マイナス思考は、究極のプラス思考だと思っています。