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北海道新聞 連載記事『朝の食卓』

運の良い人悪い人

北海道新聞 連載記事『朝の食卓』


ぼくは基本的に運が良くなく、先に注文しても後回しになったり、順番待ちでは並ぶ列を誤ったりすることがあります。抽選も当たったためしがありません。

ただ、最後の最後で良い結果が出ることもあり、土壇場では運が良いのかもしれません。司法試験は11回目で合格しましたが、こんなにも受験していると、合格してもあまり得をした気分にはなりません。

弁護士は人のマイナス部分ばかりを取り扱う仕事なので、運が悪い人によく会います。世の中不公平ですから、いいかげんなことをしていてもトラブルにならない人もいれば、正直に生きていてもトラブルに巻き込まれてしまう人もいます。

ぼくは運が良くないと自覚しているので、運が良い人悪い人のまねはせず、地道に生きています。例えば、車の運転には慎重を期しており、追い越し運転などはしません。うっかりと速度違反をしてしまったことがあり、免許もゴー ルドではなくなりましたが、人身事故を起こさなくて運が良かったと考えています。

また、ぼくは弁護士として最高裁判所の法廷で意見を述べ、逆転勝訴したという極めてまれな体験をしています。最高裁判所で逆転するということは、それまで敗訴しているということなので、最後まで諦めなかったことが勝因です。土壇場にならないと運が回ってこないから、こんな体験もできたのでしょう。

土壇場で運が回ってくる人生は、あまり得をした気分にはなれません。が、結構気に入っています。