しらかば法律事務所TOP北海道新聞 連載記事『朝の食卓』 > カツ丼

北海道新聞 連載記事『朝の食卓』

カツ丼

北海道新聞 連載記事『朝の食卓』


丼もので、一番好きなのは「活カツ丼」です。年齢を重ねると、カツ丼は重たいので敬遠されがちですが、ぼくは、まだまだ、カツ丼派です。

なぜ、カツ丼かといいますと、まず、トンカツ自体が大発明であるということです。豚肉に衣をつけて油で揚げるなんてことは、天才でなければ、思いつきません。しかも、それにとどまらず、せっかく揚げたトンカツを卵でとじてしまうという、先行行為を否定する邪道なことをしていながら、おいしいことにあります。カツ丼はノーベル賞級の大発明といえます。

カツ丼の食べ方ですが、僕の流儀では、丼に向かって左端のカツのパートに垂直に箸を入れ、カツの下のご飯を丼の底まで食べてから、右隣のカツのパートとご飯に食べ進みます。そうやって右側に食べ進み、最後まで、カツとご飯の2層構造を維持しながら食べ切ることが理想です。つゆだくのカツ丼は、垂直に食べ進むのが難しいので、つゆだくにしないように注文します。

刑事がカツ丼を提供すると、被疑者は情にほだされて自白するーという場面は、いかにも日本的な刑事ドラマですが、裏を返せば、カツ丼は市民に人気があるので、このように使われるわけで、カツ丼の高い社会性を示すものといえます。

ただし、カツ丼を提供して獲得した自白は、利益誘導によるものとして、裁判では採用されないことがあるため、実際の取り調べでは、カツ丼は提供されていないと思います。