しらかば法律事務所TOP北海道新聞 連載記事『朝の食卓』 > 塞翁が丙午

北海道新聞 連載記事『朝の食卓』

塞翁が丙午

北海道新聞 連載記事『朝の食卓』


「人間万事塞翁が馬」とは、人生、何が幸不幸につながるか分からないことの例えです。「人間万事塞翁が丙午」とは、丙午年生まれの母親をモデルにした青島幸男の小説です。ぼくは午年生まれで、しかも丙午(1966年)です。丙午は60年に1回なので、青島幸男の母親は、ぼくの60歳年上で、存命ならば今年112歳です。

丙午の年に生まれた者は気性が激しく、ことに女性は夫となった男性を早死にさせるという迷信があり、世間一般では丙午の年は出産を控えたので、出生者が極端に少ないのです。しかし、これが幸いし、高校受験の時、受験した旭川東高校が定員割れして受験者全員が合格しました。

大学受験の時、社会の選択が地理だったため、法学部をあまり受験することができず、法学部以外も受験して某有名私大にも合格しましたが、地味な中央大学法学部に進みました。この選択は、10人中9人はしないことから、変わり者とされました。

大学4年の時、バブル景気で就職は超売り手市場。皆、希望どおりに内定をもらっていました。ぼくは安易に司法浪人を選択しました。後で司法試験の難しさを実感して死ぬほど後悔しましたが。

しかし、銀行までもが破綻する時代が到来し、就職した会社が無くなる憂き目に遭った者も少なからずいます。ぼくは中央大学に進み、就職せずに司法浪人したので、そのような憂き目に遭わずにすみました。