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北海道新聞 連載記事『朝の食卓』

天竺に行きたい

北海道新聞 連載記事『朝の食卓』


司法試験に合格してもすぐに弁護士になれるわけではなく、埼玉県にある司法研修所に入所し、法律実務の勉強(司法修習)をして、司法研修所の卒業試験に合格して、ようやく弁護士登録できます。

司法浪人の頃、弁護士になりたいと願うよりも、司法修習性になって司法研修所に行きたいと願っていました。司法研修所は、ぼくにとって「♪そこに行けば〜どんな夢もかなう」という「はるかな世界」。「どこかにあるユートピア」でした。

西遊記では、三蔵法師が、孫悟空らを供に天竺を目指します。孫悟空らは架空のキャラクターですが、三蔵法師は実在の人物で、唐の都・長安から天竺に行って帰ってくるのに17年かかっています。ぼくも、大学を出てから司法研修所にたどり着くのに10年かかっているので、ぼくにとって司法研修所は天竺に他なりません。

では、天竺である司法研修所はどんな所かというと、中学校のような所です。14クラスに分けられ、各クラス5人の教官がいます。時間割があって、日直がいて、講義の前後に「起立、礼」と号令をかけます。クラス代表やレクリエーション係、アルバム係など、中学校さながらのクラス人事が行われています。クラス対抗のソフトボール大会や見学旅行、卒業時の謝恩会もあり、卒業アルバムまで制作されます。

夢にまで見た天竺で、ぼくは中学校生活の日々を送りました。