しらかば法律事務所TOP北海道新聞 連載記事『朝の食卓』 > 数学嫌い

北海道新聞 連載記事『朝の食卓』

数学嫌い

北海道新聞 連載記事『朝の食卓』


ぼくは、高校に入ってから、数学の成績が悪くなりました。そこで文系を選択し、そのころ北海道知事に当選した横路孝弘さんが弁護士であったことから、弁護士を目指そうと思い、大学は司法試験に強い中央大学に進みました。受験科目に数学が必須ではなかったことも中央大学を選んだ理由です。

「現代の科挙」と呼ばれていた司法試験でしたが、数学よりは簡単だろうと高をくくっていました。数学を避けて進路を決めたわけですが、司法試験受験では10年も浪人しました。基本的知識から思考して結論を導くという勉強方法を軽視し、結論を暗記するという勉強方法を取ったからです。

この方法だと範囲が膨大な司法試験では脳ミソの容量オーバーとなり対応できません。また、どうしても穴ができてしまい、暗記していない分野が出題されるとお手上げになります。

AならばB、BならばC、よってAならばCという中学校の数学の証明問題のような思考をしないと対応できないのです。これに気づいたのが合格する2年前で、思考過程を意識して勉強し直したら合格しました。

気付いて良かったなあ。数学を避けて生きてきましたが、結局、数学から逃げ切れなかったわけです。自分の体験談を中学生や高校生に話す機会があれば、いつもこの話をします。文系でも、大学受験に関係なくても、数学の勉強は思考力を身につけるために必要だよと。