北海道経済 NewsFile 異例の経歴、高橋英俊弁護士
2012年5月号
法律家と野球指導者の道「両立したい」
今年3月10日、旭川弁護士会に登録し、しらかば法律事務所(旭川市川端町4条6丁目)に所属する弁護士として活動を開始した高橋英俊さんは、小学校から大学まで野球に打ち込み、大学院時代には高校軟式野球部でコーチを務めた異色の経歴の持ち主。今後も法律家と野球指導者の二足のわらじを履きたいと語り、旭川でも野球指導者として活動の場を探している。
高橋さんは現在43歳。盛岡市に生まれ、父親の転勤に伴い、広島県や茨城県、北海道などの地域で少年時代を過ごしたが、その間、少年野球チームや中学、高校の部活動で野球に励んだ。ポジションは投手。札幌東高校から慶応大学文学部に進学し、準硬式野球部に入部した。
準硬式野球にも硬式の大学野球と同様、六大学や東都(1~6部)の各リーグがあり、慶応の準硬式野球部は六大学リーグに所属。高橋さんの公式戦での成績は4年間で5勝5敗だった。慶応大学といえばスタイリッシュで洗練された印象があるが、体育会は硬派の雰囲気が今も残り、高橋さんは4年間を厳しい上下関係の中で過ごしたという。
学部を卒業後、慶応大学大学院法学研究科に進学、2年間の受験勉強を経て公務員I種試験に合格した。就職は見送ったものの、受験をきっかけに法律家の仕事に興味を持った。その後、東北大学の大学院で情報科学(メディアリテラシー)を学んだのち、中央大学法科大学院に入学して、2010年の司法試験に合格した。司法修習先が旭川だった縁で、小林史人弁護士が代表を務めるしらかば法律事務所に入り、この春、弁護士としての活動を開始した。
「実際に弁護士になったいま、試験で点数を取る能力ではなく、交渉術や、相手の考えを踏まえて行動する能力が大切だと痛感しています」(高橋さん)
高橋さんが慶大大学院時代の5年間、コーチとして指導したのが、慶応高校(神奈川県)の軟式野球部。県大会、南関東大会を勝ち抜き、毎年兵庫県の明石市で開かれる全国大会に出場した実績もある。
「コーチとして少年に野球を教えることで、私も多くのことを学ぶことができました。機会があれば、また指導者としてグラウンドに立ちたいです」と語る高橋さん。旭川で、法律家と野球指導者の道を両立したいと考えている。
高橋英俊弁護士。
「コーチとしての経験から、私も多くのことを学びました」