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北海道経済 連載記事

2025年7月号

第184回 ロータリーと弁護士会

ロータリークラブと弁護士会。性格も成り立ちも大きく異なる2つの組織だが、類似する点も少なくない。 (聞き手=本誌編集部)

私は現在、旭川北ロータリークラブの会長を務めており、本年6月末日で1年間の任期が終わります。他方で、2013年4月〜2015年3月まで旭川弁護士会でも会長を務めました。2つの会長職を経験して思うことは、ロータリークラブ(RC)と弁護士会は全然違うように見えて案外似ているということです。

団体の性格は大きく異なります。弁護士会は弁護士法に基づく強制加入団体であり、弁護士として活動するためには、各地の弁護士会(単位会)のいずれかに加入しなければなりません。弁護士会には会員への懲戒権限を含む強力な自治権があります。弁護士会(単位会)は基本、地裁管内ごとに1つあります(北海道は広域のため4地裁あり、単位会も4つある。東京地裁管内は人口が多いので3単位会がある)。

RCは、任意加入の奉仕団体であり、異業種の経営者の集まりです。入会するのも退会するのも自由です。当然ですが、自治権もありません。

RCは地区ごとに単位会が複数併存しており、名称に「旭川」を含むものだけで8つあります。

組織構造は似ています。弁護士会の場合、単位会の上でより広いエリアを統括する上部組織があります。旭川弁護士会の上には北海道弁連があり、その上には日弁連があります。他方で、旭川市内のRCの上には、およそ北海道の東半分をエリアとする「国際ロータリー第2500地区」があり、さらにその上には国際ロータリーがあります。組織の内部にさまざまな役割別に委員会が設けられているのも似ています。また、弁護士会の場合、弁連ごとに定期大会が開催され、北海道弁連の場合は、札幌、旭川、函館、釧路の持ち回りで開催しています。RCでも、地区ごとに地区大会が開催されており、同一地区に属する帯広、釧路、北見などで開催されています。近年、大会が簡素化される傾向にあるのも似ています。

公益活動も共通点です。RCは世界的なポリオ撲滅活動を行っています。奨学金活動も盛んです。旭川北RCでは、学習支援事業「せんちゃん勉強会」をボランティアの講師の方の協力のもとに主催し、道教大旭川校が主催する学習支援事業「えんぴつとはし」の活動をサポートしています。一方の弁護士会は、弁護士自身の権益を守るための活動と同時に、弁護士法が第1条で「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」と定めていることもあり、人権擁護活動にも力を入れています。無料法律相談や毎年開かれる日弁連の人権擁護大会がその典型です。

どちらも会費は決して安くありません。弁護士会は強制加入ですから、弁護士になったばかりの若手も会費を払わなければならず、大変です。単位会、道弁連、日弁連それぞれに会費が発生します。単位会の会費は、弁護士会館のローンが残っているころは今よりも高額でした。RCの会費はどの単位会に所属するかによって異なりますが、例会や奉仕活動を充実させれば、費用もかかるため、会費もそれなりに高額となります。

このように、両団体の活動が似ているのは、弁護士会の会務活動は意欲がある人がやり、無関心な人は参加しないので、その意味で、弁護士会にも任意団体的な側面があるためだと思います。