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北海道経済 連載記事

2010年5月号

第2回 借金問題の解決、弁護士費用は?

人にはわかりにくい法律問題を小林史人弁護士が独自の視点で解説する「辛口法律放談」。第2回は、借金問題を弁護士に依頼して解決する際の費用について。(聞き手=北海道経済編集部)

個人が債務超過に陥った場合の対処方法として、代表的なものは①自己破産②民事再生③任意整理の3つです。①自己破産は、支払い不能となった場合に取られる手続で、換価できる財産は全て換価して債権者に配当し、残債務については免責してもらう手続です。この場合、所有している住宅は失うことになります。②民事再生手続では、住宅ローン以外の債務を整理することができるので、住宅ローンは支払ってマイホームを維持したい場合に、この手続を選択する実益があります。住宅ローンは予定通りに返済していき、それ以外の債務の8割をカットして、残った2割を3年分割で支払うのが一般的です。③任意整理は、もっぱら消費者金融会社と裁判外で個別に和解交渉をするものです。利息制限法に基づいて金利の引き直し計算を行うことにより、債務が減少したり、場合によっては債務が無くなり、巷で話題の過払い金が発生することもあります。債務が残った場合は、3?4年での分割返済の合意をするのが一般的です。

多重債務に関する法律相談では、この3つの手続のうちどれを選択するかのアドバイスを行います。弁護士は、相談者から依頼を受けた場合に、①や②の法的手続きや③の債権者との交渉を代理して進めることになります。なお、いずれの手続を取った場合も、いわゆるブラックリストに載ってしまうので、何年間かはクレジットカードを使った信用取引、キャッシングが出来なくなり、銀行から融資を受けることもできなくなります。気になる弁護士費用ですが、弁護士費用は自由化されているので、個々の弁護士ごとに異なります。一般的な目安ですが、依頼を受ける前の法律相談は30分5000円です。弁護士に依頼をした場合には、着手金が発生します。その金額は債権者数や処理の難易度によって幅がありますが、自己破産では20~30万円、民事再生では25?40万円、任意整理では、債権者1社あたり2万5000円といったところでしょう(金額はいずれも税別)。

次に成功報酬ですが、自己破産と民事再生については、発生しないのが普通です。任意整理の場合は、過払い金が戻ってくれば、その2割程度が成功報酬となるのが一般的です。債務が減額されたにとどまる場合は、通常は報酬は発生しませんが、交渉が困難な債権者については、債務減額分の5~10%が成功報酬として発生することもあります。いずれについても、依頼をする前に、弁護士に説明を求めて確認し、契約書に記載してもらう必要があるでしょう。なお、法テラスを利用すると法律相談料は3回まで無料となります。また、着手金、場合によっては成功報酬も分割返済(1ヶ月5000円の返済)にすることができます。法テラスを利用するには、世帯の資力が一定の基準以下であることを証明する書類が必要です。法テラス利用の場合、自己破産の場合は15万円程度、民事再生の場合は20万円程度を分割返済することになるので、負担は軽くなります。

弁護士によっては、相談料や着手金を少額に、報酬その他を多額に設定しているので、手続全体を通してどのくらいかかるかの事前確認が不可欠といえます。TVCMを行っている遠方の弁護士は、出張日当・交通費等いろいろな名目で費用を請求することもありますので、特に慎重な確認が必要となります。(談)