禁断の惑星
1.脱走犯 わたしはジョニー・武田、35才で独身で・・・ いや、今は自己紹介してる場合ではない。 後ろ手に縛られ、首筋に銃口を押しつけられ、脱走犯たちの盾にされてる。 わたしを前に出し、脱走犯たちは通路を進んだ。人数は3人か、それ以上だ。 「ここだ」 声があって、通路を曲がった。この先はエアロック、緊急救難艇につながる場所。 犯人たちが先に入り、盾のわたしを殿として、エアロックの扉が閉じられた。 ピーピー、警報が鳴った。 「緊急脱出の手順を開始します」 機械のアナウンスがあり、わたしは脱出艇の中に連れ込まれた。シートに両手ごとベルトで固定された上、猿ぐつわをされた。もう逃げられない。 「本艇は本船から切り離されました。エンジンを起動、脱出します」 軽くショックがあって、小さな窓に星が見えた。 続いて、強い加速で体が揺さぶられた。艇が本船から離れて行くのだ。 わたしは狭い艇内を見渡した。操縦席に2人、他に4人の脱走犯が席に着いていた。 銃を持っているのが、彼らの親玉だろう。写真を見て知っていた。ドルフ・蘭愚連と言う死刑囚だ。 「座標入力終わり、ハイパースペースへジャンプする」 どん、と衝撃がきた。 どこへ行くのか、連れて行かれるのか。 あと、とこで逃がしてくれるか、または捨てられるか。それが問題だった。 「よう、どこへ行くんだい?」 悪党の2番手、チャック・糊州が言った。 「ここだ」 ドルフがプリントを出した。 「ケトル4b惑星、通称はカロン。俺らのような死刑囚が逃げ込むにゃ、絶好の星よ」 カロンと言う星の事は知っている。 100年前、謎の伝染病が発生、人口の半数が死んだ。以来、銀河連邦が惑星を隔離、人と物の出入りを禁じている。 「伝染・・・て、そいつはマズくね?」 「ちゃんと調べた。ここ50年ばかし、新しい病人も死人も出てない。つまり、病気は治まった。隔離措置は続いてるが、な」 「そんなもんかな」 一同は、なおも懐疑的だ。 「隔離措置のおかげで、入る事は許されているが、出る事は禁じられている。この星に入れば、追っ手は来ないんだ」 「追って来ても、出られない訳か」 「そう言う事さ」 がははは、ドルフは笑った。 「故郷に帰れないが、そこは割り切りだな」 悪党の3番手、シルベスター・素田論が言った。少し寂しげだ。 目で艇内を探れば、脱走犯は全部で6人いた。わたしを含め、この脱出艇に7人が乗っていた。 ピピピ、警報が鳴った。 ずずずん、と衝撃があって、艇は通常空間に戻ったよう。 「ここは隔離圏である。侵入者に警告する。ここから出てはならない」 通信が来た。 「ご丁寧な挨拶、いたみいるぜ。じゃ、バイバイ」 ドルフは通信を切った。窓の外に惑星の青い縁が見えた。 「着陸誘導電波を受信した。でもよ、これに従ってたら、降りたとたんに逮捕されるな」 「トランスポンダーを切っちまえ。住むやつの少ない所に着陸するんだ」 操縦をするアーノルド・朱輪が計器を見た。またドルフが否定的な指示を出す。 「エネルギーの残量が少ない。とりあえず、近場で行くぞ」 どどど、大気圏に突入して、艇は細かく揺れた。 今回の航海が済めば、わたしは地上勤務になるはずだった。それなのに、二度と出られない星に来てしまった。 わたしは心の中で、家族に別れを告げた。 どかん、がたん、激しく揺れて、脱出艇は転覆した。 艇内はミキサーと化した。人間と荷物が飛び交い、衝突し合った。 回転が止まった。艇は斜めになって、ぐらぐら揺れているが、静かになった。壁が割れ、外の風を感じた。 脱走犯たちは荷物の下敷きで倒れていた。わたしは席に縛られていたから、さして体の痛みは無かった。しかし、溜まっていた小便を漏らしてしまった。下腹部の痛みが消えたが、濡れた服が気持ち悪い。 「皆様、惑星カロンへようこそ。手荷物のチェックなど、降りる準備をお願いします」 ドルフの声がした。こんな状態でジョークとは、頑丈なやつらだ。 がたごと、荷物をかき分け、脱走犯たちが起き出した。ぽきぽき、骨を鳴らして体の具合を確かめる。 「探査機が出てるようだ。すぐ、ここにも来るぞ」 通信器をいじるハリソン・不尾戸が言った。 「おおっ、何てこった」 チャックが崩れた荷物や壁の下敷きを見た。一人の足は動かない、もう一人が苦しそうにうめいた。 「すぐ病院へ生きたいところだが、俺たちゃ、死刑囚なんだな」 シルベスターが口を歪めて言った。 「この程度で、死んでたまるかい」 歪んだ壁を押しのけ、アーノルドが起き上がった。となりの動かない足に触れ、尻をなでる。 脱走した6人中、5人が生き残っていた。やつらはほとんど無傷だ。 「気色悪い事するなっ!」 動かなかった足が急に動いた。ブルース・有入巣が気絶から目覚めた。 脱走犯は全員無事だ。 「来た、ふせろ!」 ドルフの号令に、皆が背を縮めた。 小型のドローン偵察機が窓の外を通る。機体の外観を見ているようだ。 「別のが来た」 「あっちは有人機だ、けっこう大きいぞ」 声をおさえ、彼らは迎え撃つ気が満々だ。 2.強姦と強奪 脱走犯たちは救助に来た飛行艇を乗っ取り、森の中に隠れた。 わたしは解放されず、乗っ取り機に乗せられた。服が臭い、と裸にむかれてしまった。 艇内には、同じように後ろ手で縛られた乗組員が3人。皆、女だった。 「わたしはシンディ・ブラウン大尉、あなたたちに警告します。現在、あなたたちは大変に危険な状況にあります。直ちに部隊の保護下入り、医療措置を受けなければなりません」 ブラウン大尉の年は40代か、毅然とした美しさで脱走犯たちを見上げた。 他の2人は20代と30代、わたしより若い女たち。 ふははは、下卑た笑いでドルフが応じた。 「そうなんだ、俺たちは危険なんだよ。何年かぶりで女を見たもんだから、ここが・・・こんなになっちまった」 ドルフはズボンを下着ごと下げた。毛むくじゃらの下半身に、ニョッキリと肉棒が突き出した。毒蛇コブラが鎌首を持ち上げたよう。 わたしは声が出ない。ドルフのに比べたら、わたしのは・・・殻から頭を出したカタツムリくらいか。 「さあ、責任取って治療してくれよ」 ドルフは股から生えたコブラの頭を、ブラウン大尉の口に押し込んだ。頬が不気味にふくらみ、顎が外れそうに開いた。 チャックとシルベスターが大尉のズボンに手をかけた。たちまち、年増女の下半身が露わになる。 「やっぱり、年の順でいかないとな。さあて、お母さんの味は?」 ドルフは大尉の両足を抱え上げた。ふぐうっ、大尉がくぐもった声で背を反らせた。 「おお、お母さん、締まり良いなあ、まだまだ現役だぜ」 がんがん、ドルフが腰を突き入れる。 あっあっあっ、大尉は口をパクつかせ、頭を振った。 「アニキが突っ込めば、どんなゆるマンもキツキツだけどな」 チャックが黄ばんだ歯をむき、あとの2人を品定めする。 おおおっ、ドルフが声を上げた。腰の動きが止まる。 ブルースとハリソンが若い2人の服に手をかけた。 「さあ、アニキ、まだ残ってるぜ。ちゃっちゃと抜いて、俺らにも回してくれよ」 ドルフは脱力した大尉から、あのコブラのような肉棒を抜いた。ぴょん、白い飛沫をあげ、バネのように揺れる。 屈強な男が二人がかり、女の足を左右に開かせた。 ふぎゃ、女の悲鳴は途中で切れた。痛みで声が出せないのだ。 「おおっ、血が出てるじゃねえか。その年で処女だってか」 「アニキが入れたら、ほとんどの女は切れるぜ」 がははは、ドルフが笑う。チャックは2番手と、大尉の上に乗りかかった。 どろり、ドルフが肉棒を抜いた。とたん、女が泣き出した。 シルベスターが左手で女を抱き寄せ、頬に口を押し付けた。その右手は、血まみれの股をまさぐる。 「俺はアニキほどデカくねえから、まったりと楽しもうや」 ドルフは一番若い女の尻を抱えた。むん、腰を突き入れる。ひいいっ、また女の悲鳴。 やつらの狼藉を見ながら、わたしも興奮して勃起した。しかし、どれほど大きくなっても、やつらの半分くらい。自分の小ささに呆然とした。 「ドローンに見つかった。移動するぞ」 操縦席のアーノルドが叫んだ。 エンジンがかかり、飛行艇が動きだした。 ドルフは面倒そうに女を放すと、裸のまま操縦席へ行く。 「やっぱよう、犯るなら若いのだよな」 ハリソンとブルースが女を前後から抱いた。もう声が出ない様子。 飛行艇が止まった。 窓から家が見えた。農家のようだ。 脱走犯たちは見張りも置かず、そこへ出かけた。縛られた裸の男が1人と、裸の女が3人、残された。 やがて暗くなってきた。 「あなた、ここへ来てから、何か食べたり飲んだりした?」 大尉が聞いてきた。 わたしは顔を伏せたまま、首を振る。股間の勃起した肉棒を隠すのに必死だった。小さいし、笑われたくなかった。 「助けが来るまで、食べたり飲んだりしちゃ、ダメよ。私たちにも触らないで」 うん、わたしは肯いた。 そこへアーノルドが帰ってきた。ズボンだけ、上半身は裸だ。鎧のような筋肉だ。 「よっしゃ、みんな出ろ」 4人のロープはつながっている。わたしは最後に艇を出た。 家までの道、暗がりの中だが、女たちの尻を見ながら歩いた。また、股間がむずむずした。暗くて助かった。 家の中、リビングに5人の女が裸で縛られていた。すでに1度や2度、犯された後と見えた。 「おお、来たな。良い風呂が沸いてるぜ。きれいにしてやる」 シルベスターとチャックが裸の出迎え。股の巨大な物をぶらぶら、見せびらかして言う。 わたしは3人と切り離され、玄関横の柱につながれた。 シルベスターが大尉ら3人を浴室へ連れて行った。 ぐごごご、盛大ないびきは、長椅子に寝てるハリソンだ。ずいぶん疲れているよう。 ざーっ、と水の音。トイレからドルフが出て来た。少し顔が青ざめている。 「おまえ、来い」 ドルフは女の髪をつかんで引いた。イスに深く腰を落とすと、女の口に脱力したコブラを入れる。 「そうだ、歯をたてるな」 女の頭を右手でおさえ、ドルフはテーブルの酒瓶に左手をのばす。一杯あおると、目を閉じ、腹で大きな息を始めた。 対面するイスで、チャックが女と座位でつながっていた。巨大な肉棒が女の股に刺さっている。両手で乳房をまさぐりながら、大きなあくびをした。昼間から、女を何回犯したのか、疲れて当然だ。 アーノルドは女を壁に向かって立たせ、後ろから犯す。振り向き、わたしと目が合った。 「おまえもしたいか、んん? やりたそうだな、男だもんな。やらせてやろうか?」 わたしは首を振った。股間の肉棒は痛いほど勃起していたが、それでも彼らの半分以下の大きさだ。 ブルースがよろけながら玄関へ行く。ドアを開き、外でゲロゲロと吐いた。 「来た、もう来た」 よろける足取りで、ブルースが中に戻った。 わたしは窓の外を見た。数機の飛行艇か車両のライトがあった。人も大勢いる。 ううう、ブルースは腹をおさえて、床にころがった。苦しそうだ。 どたーん、大きな音で倒れたのはアーノルド。鼻から血が出ていた。 きゃあきゃあ、かわいい悲鳴で、浴室から大尉ら3人が出て来た。1人は血まみれだ。しかし、彼女の血ではなさそう。 「吐いたわ」 大尉が言った。おそらく、浴室で一緒だったシルベスターが吐血したのだ。 ドルフが目をむく。しかし、体は動かさない。部屋を見渡せば、異変は明らかだ。チャックは失神したように眠っている。 「ど、どうなってんだ・・・」 「急性症状が出たようね、もう手遅れよ。だから、危険だと言ったのに」 「き・・・きけん?」 ドルフは立とうとして、逆にイスから落ちて倒れた。寒気が来て、手が震えた。自身の体にも何か起きている、と悟った。 「た、助けて・・・」 ドルフは祈るように手を伸ばした。でも、大尉は首を振った。 「わたしも助けたかった。あなたたちは、この星に50年ぶりの男です。でも、私の警告を無視した」 ばたん、玄関のドアが開いた。 銃をかまえた戦闘員に続き、白い服の医療チームが入って来た。皆、女だ。 3.選択 病院に収容され、無菌室に隔離された。点滴と酸素マスクをして、ガラス越しの取り調べとなった。 わたしはジョニー・武田、35才で独身で旅客宇宙船の客室乗務員で・・・ 自己紹介して、この星の事情を聞いた。 惑星カロンで伝染病が発生した、約100年前の事。XX染色体のみの細胞に寄生し、XY染色体を持つ細胞を攻撃して、その人間を死に至らしめるウイルスだった。つまり、女をキャリアーにして男を殺すウイルスだ。他の動物や植物での感染は未確認である。 約20年で、全ての男が死んだ。人口が半減した。 発病した脱走犯たちは、2日あまりで死んでしまった。粘膜接触による急性感染でショックが起きたのだ。 わたしの場合、現在している点滴と隔離措置で、平均では4年、最長で20年の余命があるらしい。あくまで記録の上での話しだが。 クローン技術を使い、女たちは男に依らない社会を作った。 わたしは空気感染で保菌者となった。この星から出る事は許されない。 このまま、無菌室で何をして生きるのか。 わたし以外は、女だけの星。しかしながら、ここは花園ではないし、楽園でもない。 病院の理事とか院長とか、お偉方が来た。 精子の提供を申し込まれた。人工授精への協力要請だ。 50年前、連邦の調査団が降り立った。男女混合のチームだった。 病気は30年経っても健在で、男は皆死んだ。女は帰還をあきらめ、この星に住む事になった。 けれど、死んだ男たちは重要な仕事を残した。精子だ。 クローンだけでなく、人工授精による人口維持の道が開かれた。当時の保存精子は、すでに底をついていた。 わたしにも、精子を残せ、と言う。 養ってもらっているし、断る理由は無い。 細い試験管をもらい、それに精子を入れる・・・のだが、何度やってもダメだった。 わたしのペニスが入る太めの試験管で試みるも、やはりダメだ。わたしは科学者じゃないし、射精技術者でもない。 柔らかい容器を求めて、コンドームに行き着いた。 我がペニスにコンドームをかぶせ、両手をゼリーでぬるぬるにした。マスターベーションを始める・・・まあ、あれこれなんたら、妄想を駆使して、なんとか射精できた。 白い精液が入ったコンドームを、医療班に渡して仕事が終わる。1日1回の採取を要求された。 だが、3日目には飽きた。 女だけの星にいて、女に触る事ができない。そんな理不尽な状況が我慢ならない。 じゃ、どうする? 「男としては、女に直接種付けをしたい。寿命が短くなっても良い!」 要求が通るとは思わなかった。検討してみる、と彼女らは答えてくれた。 この星に来て、2ヶ月が経った。 その日の朝、新しい医療スタッフのチーフが着任した。パーカー・ウッドはメガネで長身、わたしより背が高い。 「ジョニー・武田さんの要望について、慎重な検討をしてきました。男女交合による自然生殖の実験に賛同する者が6人おります。この人数でなら、と計画が承認されました」 難しい言葉を使われたが、わたしは女と出来るらしい。 自然生殖と言う事で、わたしは女たちと粘膜接触をする。点滴をしているので、急性感染のリスクは高くないが存在する。記録によれば、平均余命は約1年、最短6ヶ月から最長で5年だ。発症すると、1ヶ月以内に死亡する・・・と言う。 少なくとも、半年は6人の女とできる計算だ。 「6人もの女を孕ませられるなら、男として本望だよ」 100年前に伝染病が発生してから、惑星カロンではクローンと人工授精が生殖の基本となった。男女の交合は不可能となり、捨てられた古い習慣となった。 知識として知っていても、あえて古いやり方で子供を産むのは、冒険と言って良い。それへの志願者が6人、尊敬すべき人たちかもしれない。 パーカーがメガネを外して言った。 「実験の被験者を7人にします。わたしも参加させていただきます」 こちらに異論は無い。できる女は多いほど嬉しい。 午後、実験の参加者と顔合わせ。10代後半から40代まで、バラエティに富んだ被験者たち。 見知った顔があった。シンディ・ブラウン大尉と、彼女の部下だ。 あの日、8人の女が脱走犯たちに犯された。内、3人が授精していた。1人に妊娠反応が出たが、結局、自然流産した。 あと2人は、受精卵が子宮に着床する前に死んでいた。調べると、Y染色体が検出された。 「妊娠に至る確率を高めるため、生殖行為は排卵日から生理の前日までとします。1日に1回、1人と限定します」 科学的な生殖実験なので、条件設定は厳密だ。 全員の健康診断が行われた。事前準備のひとつだ。 第1の被験者はシンディ・ブラウン大尉。不本意ではあったが、経験者である。 わたしたちは腕に血圧と心拍を測る機械を付け、頭にバンド状の脳波アンテナを付けた。 ダブルベッドを遮光カーテンで囲んで、実験所とした。あらゆる方向にカメラが仕掛けられていた。薄明かりでも、すぐ分かった。 パーカー・ウッドらが別室で見守っているはずだ。 裸になり、わたしはブラウン大尉とベッドに座った。 「今日は、よろしく」 簡単に頭を下げた。大尉は緊張しているのか、落ち着きが無い。 はー・・・ふうっ、大きく息をつき、大尉は不動のかまえになった。 実を言えば、わたしは恋愛経験に乏しい。デートなどという事さえ、数回だけ。まして、恋人とベッドインした時は・・・思い出したくもない失敗の記憶だけだ。 ビデオや小説を頭に思い描き、わたしは物語の中のシーンを再現しようと考えた。しかし、ここで使えるのは、もっぱら三文小説やエロビデオだ。 「わたしは大丈夫です。鍛えてますし、覚悟もあります。どうぞ、ご随意に」 凜として、大尉が断言した。わたしが脱走犯たちと同じようにする、と思っていたのだろう。 「すみません。わたしは、あんな風にはできません」 わたしは大尉の肩を抱き、唇を重ねた。鼻の息が交差した。 両手を背に回し、さらに抱き寄せる。胸と胸が合った。息をするたび、胸が乳房を押した。 この先、どうしようか迷った。と、大尉の手がわたしの背に回ってきた。 わたしは足を進め、大尉の股に割り込ませる。そのまま押し倒した。さらに唇を強く押しつけると、口が開いて、舌をからめる場面になった。 すでに、ペニスは痛いほど勃起していた。 右手で大尉の足を開かせ、亀頭を股に導いた。どこかにバギナの入り口があるはずだ。 亀頭を上下左右に振り、入るべき所を探す。またダメか・・・あの時の失敗が頭をよぎった。 ぬるり、亀頭が肉の中にめり込んだ。ここだ! わたしは両足を踏ん張り、腰を突き入れた。ペニスは大尉のバギナに深々と埋まった。 亀頭がバギナの奥で何かに当たった。そのとたん、ペニスが爆発した。 わたしの体の奥底から、エネルギーがペニスを伝って放射された。がくんがくん、全身が揺さぶられた。 反動で、ペニスが抜けそうに感じた。 わたしは大尉にしがみつき、激しく息をした。大尉の手と足が、わたしの背に回って、やさしく抱いてくれた。 粘膜接触をした。もう後戻りはできない。 4.種付け三昧 無菌室を出て、新しい居室で朝日を感じた。 カーテンを開き、窓からベランダに立つ。すぐ下は砂浜、100メートルほど先は白浪たつ海。雲で日の出が見えないのが残念だが、冷えた風が心地良い。 風を浴びながら、昨日の事を思い出した。 女とまともにできた、これは良かった。 しかし、挿入したとたんに出してしまった。男としては面目を失う場面。せめて、数回のピストン運動をしてからにしたかった。すべては慣れだ、今日以降の課題としよう。 体が冷えてきた。 部屋にもどり、トイレで小便を出した。ベッドにもどり、水を飲んで乾いたのどを潤した。 「お早うございます」 パーカー・ウッドが入って来た。 「朝の精液採取をしましょう」 事務的な物言いで、女らしくない態度だ。パーカーに背を向け、わたしはベッドに座った。 女と1日に1回、人工授精用の精液採取も1日1回。わたしに課せられたノルマである。 「わたしが手伝います」 パーカーは言って、わたしの下着を下げた。ペニスを指でつまみ、コンドームを手にした。 してくれるなら、わたしに文句は無い。目を閉じ、起てと念じた。 「はて、大きくなりませんね」 パーカーが首を傾げた。 起きる前、布団の中ではカチカチに勃起していた。朝起ちと言うやつだ。 「口でしてくれると、大きくなると思う」 「手より口で? 粘膜接触になりますね。記録で、そうしたやり方があるとは知っております。試してみましょう」 わたしは足を開いた。パーカーはメガネを取って、口を我がペニスに寄せた。 唇が触れたとたん、亀頭が包皮の中から顔を出した。むくむくと大きくなって、パーカーの頭を押し戻した。 くんくん、鼻を動かして匂いをかぎ、舌で尿道口に出て来た液をなめとる。いたずらな、でも学者らしい顔だ。 パーカーは手際よくペニスにコンドームをかぶせた。 ゴムの端をペニスの根元に伸ばし、手でおさえる。鼻で息をして、口でペニスを含んだ。 むむ、パーカーの顔が歪んだ。ゴムは不味いだろう。 わたしは両手をベッドに置いて体を支えた。ぐい、と腰を突き出し、ピストンを始めた。ペニスの根元まで口に突き入れた。 ぐぐっぐっ、ペニスの中を力が伝わる。 どすんどすん、と射精が来た。脈打つペニスをくわえたパーカーは艶っぽい。 ペニスが静かになった。 パーカーは口を放し、素早く試験管を手にした。 ペニスの先でふくらんだコンドームに、試験管をあてがった。ナイフでゴムを裂くと、管に白い精液が流れ出た。漏れた液を指に取ると、鼻に寄せて匂いをかぎ、舌にのせて味見した。 彼女の興味は精液に集中していた。わたしとしては、もう少しの間、ペニスの世話をして欲しかった。 日中、わたしは砂浜をジョギングした。 なまった体を鍛えるのだ。これから毎日、女たちと体を使った仕事がある。 昼食をとりながら、テレビを見た。 「ダッダーン! これを飲んで、最強の筋肉を!」 栄養ドリンクのCMに目を見張った。男と見違うほどの筋肉ムキムキな女が出ていた。男がいない星の女たちは、美よりも筋肉を競うのか。 ニュースのアナウンサーもいかつい言葉遣い、つい髭の剃り残しを探したくなった。 点滴を受けながら、たっぷり昼寝をすると、実験の時刻になった。 2人目の被験者はブラウン大尉の部下、クリス・ポーラー軍曹。大尉と同様、不本意な経験者である。 腕に血圧心拍計をし、頭に脳波アンテナをした。ここまでは昨日と同じ。 「昨日とは違う体位でして下さい」 パーカーが注文をつけた。 2人で遮光カーテンの中へ。ベッドに座り、裸になった。 クリスは30才になったばかり、わたしより少し若い。40代の大尉より筋肉質に見えた。 でも、昼間のテレビほどではない。十分に女らしい筋肉だ。 わたしはベッドで仰向けに寝た。上に乗れ、とクリスへ指示した。 昨日、大尉を下にして、男が上の正上位でした。今日は、クリスが上の女上位で行こう。 クリスは足を開き、太腿に座る。股の上の茂み、大きな乳房が色っぽい。 むくむく、ペニスが起ち上がった。 クリスは腰を上げ、少し前進した。茂みの奥に、肉のひだが見えた。 わたしは手でペニスを垂直に支えた。亀頭をひだの間に当てた。 クリスが腰を落とす。ゆるゆると、ペニスが肉の中に吸い込まれた。 「ああっ、これなら痛くない、大丈夫だ」 クリスが笑みをもらした。あの脱走犯たちの半分ほどのペニス、彼女には丁度のサイズだったようだ。 下から手を伸ばし、ふたつの大きな乳房をわしづかみにした。ぐにゆ、指先にたわわな弾力が返ってきた。 両足を踏ん張り、ずんずん腰を突き上げた。 ああっ、クリスが声をあげ、もたれるように倒れてきた。腹と胸が合わさった。 さらに腰を突き上げた。少し休むと、ねだるようにバギナが収縮して、ぎゅうとペニスを締め付ける。 これこそ、男女の共同作業だ。 ずずんずずん、ペニスが脈動した。射精だ。 「ああ、来たっ。すごいわ」 クリスも感じている。さらにバギナは強く締めてきた。 水の音だ。 目が覚めると、外は雨だった。 トイレで用をたし、水を飲んだ。ベッドで大の字になり、昨日のクリスを思った。 我ながら、うまくできた・・・と自画自賛した。 「お早うございます。精液採取です」 パーカーが事務的な声で入って来た。ちょっと気分が壊れた。 自分で下着を下げ、ペニスをさらした。 パーカーはベッドに腰掛け、手際よくコンドームと試験管を準備。メガネを外すと、すぐペニスを手にして舌でくすぐってきた。 目を閉じ、我がペニスの成り行きをまかせた。 「今朝は、ちょっと・・・ですねえ」 パーカーが顔を上げた。ペニスが反応しないのだ。 ほんの2日ばかり、連続でしただけなのに。もう起たないとは、我ながら情け無い。 「そっちもパンツを脱いで、おれの顔に跨がってくれたら」 嫌な提案をした、と思った。しかし、見れば、彼女の顔はケロリとしていた。 「生殖を目的としない、遊びだけの体位がありましたね。これも実験です、やれる事はやってみましょう」 パーカーはスラックスを脱ぎ、下着も下ろして、下半身をあらわにした。 ひょい、ベッドに上がると、わたしの顔を後ろ向きに跨ぐ。肉の割れ目も肛門も丸見えだ。 両手で大きな尻を抱き、腰を下ろさせた。鼻が肉にはさまった。 「あうっ」 パーカーが似合わないほど可愛い声をもらす。 わたしは舌をのばし、陰毛をかき分け、湿った肉の粒をなめた。 たちまち、ペニスが起った。すかさずコンドームが付けられ、パーカーが口に含んだ。 俗に言うシックスナインの体位。 ひくひくと動くピンクの肛門、指を入れたい衝動にかられた。 が、すでにペニスは暴発していた。きゅう、パーカーの口が精液を絞り出す。 口を放すと、直ちに試験管へ採取した。 事が終われば、容赦なくパーカーは腰を上げた。 わたしは舌を出したまま、しばらく口の中へ入れられなかった。 パーカーはわたしに尻を向け、後片付けをする。良い眺めだ。 昼寝から覚めると、実験の時刻だった。 3人目の被験者はジュリア・リンダム、まだ18才と言う。処女かと疑うと、バイブレーターで遊んでいるらしい。 農業学校の生徒で、酪農の実習では豚や牛の種付けを何度もしていた。人間で言えば、人工授精の事だ。 「でも、実家の農場では、自然繁殖が売り物なんですよね。なので、今回は、わたし自身の自然繁殖にチャレンジです」 手を引かれて、遮光カーテンの中へ。逆にリードされていた。 昨日、一昨日と違う体位が必要だ。 ジュリアはベッドの上で四つ這いになり、尻を高く上げた。 「これで、して下さい。豚や牛も、こうして種付けします」 わたしは押されっぱなし。 けれど、若い尻を前にして、ペニスは強く反応した。ぎん、と天を突く勢いで勃起。 尻に向かって跪き、唇を肉の割れ目に寄せた。鼻が肛門をつつく。 「ああっ、豚や牛の雄たちも、交尾の前に雌をなめてますね」 ジュリアの尻が震えた。割れ目が開いて、ひだが出て来た。とろり、粘液で光るよう。 わたしは立ち上がり、固いペニスをにぎり、肉の合わせ目にあてた。 ぐい、腰を入れると、亀頭が入った。と思いきや、押し戻された。 亀頭を割れ目に合わせ、両手でジュリアの腰を抱く。えいっ、と腰を入れると、今度は吸い込まれるようにペニスが埋没した。 ぎゅぎゅう、すごい締め付け。 でも、抜くに抜けない。これが若さと言うやつか。 耐えきれず、ペニスは暴発した。精液がバギナに満ちる。 これで抜ける、と思ったが・・・抜けない。まだ締め付けてくる。 足が震えた。 わたしたちはバランスを崩し、横に倒れた。まだ、つながったままだ。 「終わりました、よね? 豚や牛は、終わるとすぐ離れますよ」 ジュリアが言った。でも、放してくれないのは彼女の方だ。 「人間の交尾には、繁殖以上の目的があるのさ」 「ああ、グルーピングですか。育児期間が長い人間には、必要な事かも」 わたしは強がりを言ってごまかした。 バギナから力が抜け、自然にペニスが出るのを待つ。しかし、いつになったら抜けるのか。 膣痙攣では、と疑ってみた。 はあはあ・・・ジュリアの息が静まるにつれ、ようやくペニスは解放された。 夜明けの海岸、わたしは波打ち際を走った。 一歩ごとに足が砂にめり込む。その都度、バランスを取り直しながら走る。距離のわりに疲れる場所だ。 部屋にもどり、軽くシャワーを浴びた。ちょっともよおして、小便をした。 フリチンでベッドに座り、熱いコーヒーを口にした。 「お早うございます。朝の精液採取です」 パーカーが事務的な声で入って来た。裸のわたしを見て、ふっと息をつく。 わたしのペニスは小さくしぼんだままだ。 試験管とコンドームを用意し、パーカーはスラックスを脱いだ。 「あら?」 下着も脱いで振り返ると、パーカーは口を開けて止まった。ペニスが勃起していた。女が脱ぐ仕草に反応したようだ。 「今朝は、口だけで良かったかしら」 「いや、どうせゴムを付けるんだし、下の方でしても同じだと思う」 「下の方で?」 パーカーは天を仰ぎ、少し考える。 「なるほど、手でも口でも、射精を導くためでしたね。予行演習と言う事で、やってみましょう」 科学者らしく、割り切りは抜群だ。しかし、と思う。もう少し恥ずかしそうにしてくれると、男は嬉しいのだ。 パーカーは起ったペニスにコンドームをかぶせた。次に、わたしの肩に手を置き、ベッドに両足を乗せた。 わたしは手でペニスを支える。パーカーが腰を落として来た。 対面座位と言うやつ。 ペニスはバギナに入った。薄いゴムがよけいだが、ついにやった。 自由になった両手で、パーカーの上着を脱がした。予想より乳房は小さめだった、血が脳みそに回っているためか。 乳首に吸い付き、腰を突き上げた。 あっあっ、予想外に大きな声が出た。女のあえぎ声は男のプライドでもある。 どどど、射精が来た。パーカーの胎内だけど、実はゴムの中への射精。 ペニスの脈動が収まった。 と、パーカーはわたしから飛び降り、早業で試験管をコンドームにあてた。精液採取が完了した。 感じていたように見えたのに。情より理性が勝る女だった。 現在、排卵日を過ぎているは3人だけ。 今日の相手は、またシンディ・ブラウン大尉だ。前回は、ちと早まった展開だった。今回はきっちりしたい気分。 ベッドに裸で並ぶ。大尉は自ら仰向けに寝て、足を開いた。まな板の鯉だ。 さて、どうしようか・・・ 迷ったけど、正攻法が一番と割り切った。大尉は大人の女だ。 大尉の右側に並んで寝た。 わたしは横向きになり、口づけをした。大尉の右手が、わたしの首に巻き付いてきた。 唇を頬から首筋へ這わす。肩を通り乳房へ、乳首を舌でころがした。 右手はへそ下へ。陰毛をなで、股へ指を入れた。ひくっ、腹が波打った。 バギナの入り口は濡れていた。肉をかき分け、人差し指を入れた。指を吸い込むように、バギナが動く。待ちきれない感じ。 わたしは大尉の足の間に座った。尻を抱えて、ひざに乗せる。 ペニスはキンキンに勃起して、割れた股肉を前に、よだれを垂らしていた。指で押すと、たちまち亀頭はバギナを探し出し、勝手にもぐり込んで行った。 「あう」 大尉が可愛い声をもらした。 バギナの内壁がペニスにまとわり付く。舌でなめられているように感じた。 わたしは大尉にかぶさった。前回と同じ正上位だが、それは見てくれだけだ。 腰を動かしたい衝動を抑え、じっと我慢する。 バギナの動きが妖しくなってきた。奥側と入り口側と、内壁が別々に動く。2枚の舌でなぶられているみたいだ。 大尉が口づけをしてきた。舌で犯すように、わたしの口をなめまくる。 これが大人のテクニックか・・・ 我慢も限界で、わたしは射精してしまっていた。 おねだりをするように、大尉のバギナはペニスをしごき続けた。 5.終末期 「シンディ・ブラウン大尉は生理が来ました。妊娠に失敗しました。当面、被験者から外れます。コール・ポッターが排卵日を迎えたので、新たに被験者に加わります」 朝の精液採取後、パーカーが事務的に伝えてきた。 妊娠に失敗したとは、すごい言い方だ。もう少し婉曲な言い回しがあるだろうに。 「午後、シティの医学会があります。出席を求められていますが、行きますか?」 「いがく・・・が、なんで、また」 「ジョニー・武田は、この星で唯一の男性ですから」 納得した。ただで食わせてもらってるし、女とやらせてもらってるし、わたしに断る理由は無い。 昼食後、車で出かけた。ハンドルを握るのはパーカー、助手のドリス・ナイトが同行した。 この星に来て、初めての外出だ。 会場は大きいが平屋の建物だった。背の高いビルを想像していたので、ちょっと拍子抜けした。 すでに会議は始まっていた。控え室で待ちながら、点滴を受けた。 「出番です」 ドリスに呼ばれ、うたた寝から目覚めた。 会場の入り口に来ると、パーカーの声が聞こえた。 「このデータが示すように、射精の時、心拍血圧が上がり、男性の内臓は大きなストレスを受けます」 わたしをダシにして講演している。ま、いいけどね。 「皆さんに紹介します、ジョニー・武田氏です」 ドリスがドアを開けた。 拍手に迎えられ、わたしは会場に踏み入れた。100人以上もいる、大きなホールだった。 壇に立ち、手を振った。 振り返ると、壁の大型スクリーンにわたしが映っていた。実験中の、している場面だ。 客席にいるのは女ばかり、当然だが。わたしより年上が多い、婆さんと呼ぶべき年も見えた。年下の女は疎ら、学術会議への出席は年功が物を言うのだろう。 見せて、と声があった。 何をと思えば、わたしの裸を見たいよう。 「嫌なら、断っても良いですよ」 パーカーが言ってくれた。 ちょっと頭をかき、手でオーケーを伝えた。 ただで食わせてもらってるし、女とやらせてもらってるし、断る理由は無い。会場の誰かと出来るかもしれない、最前列の婆さんは願い下げだが。 わたしは上着から脱いだ。 「傾向として、男性の骨格と筋肉は、女より倍も発達しています。上半身に顕著です。多少の斑はありますが、太く濃い体毛が全身に分布するのも特徴的です」 パーカーが男の体を解説する、ストリップショーの音楽の代わりだ。 下着を脱いだ、まる裸になった。おおっ、と場内から声が上がる。 まだ、ペニスは小さくしぼんでいた。 「ペニスと言う器官は、意外にも、ほとんど筋肉がありません。膨張と勃起は、海綿体に血液が流入して起こります」 パーカーが手で合図してきた。起て、との要求だろう。 できない、と身振りで応えた。わたしはプロのストリッパーではない。 起て、射精を見せて、と声が出た。 わたしは首を振った。こんな明るい場所で、衆人環視の中で、マスターベーションできる訳が無い。 パーカーがメガネを置き、わたしの横に立った。 「もし、皆さんのお許しがあれば、ですが。昼過ぎ、わたしにも排卵が来ました。被験者の1人として、ここで武田氏と実演をいたします。よろしいでしょうか」 おおおっ、声が上がり、拍手が来た。 まさか、と思った。白昼のストリップに加え、白黒ショーが開かれる事になった。 「男性の一方的な生理現象として勃起する場合、多くは病的事例となり、犯罪の原因にもなります。100年以上前は、わたしたちの星でも社会問題でありました」 パーカーは説明しつつ、わたしを床に寝かせた。足を開き、股が客席に向けて見えるようにした。 「女性フェロモンは勃起を導く強い因子のひとつです。脇下、股間から多く放散されるとされます」 上服を脱ぎ、手を上げて脇を見せるパーカー。パンツを脱いで、股間も示した。 「さて、わたしのフェロモンは武田氏を勃起に導けるか、試してみましょう」 パーカーが私の顔を跨ぎ、腰を落として来た。肉の割れ目が、肛門のひだが見える。あと数センチで、鼻が陰毛に接する距離だ。 下半身に血が行く。むくむく、わたしはペニスが動くのを感じた。 「少し効いたようです。でも、半勃起では生殖活動ができません。より直接的な刺激をしてみましょう」 パーカーは尻を落とし、わたしの顔に密着させた。濡れた肉ひだが鼻と唇に接し、目の前では肛門がすぼんで動いた。 まだ柔らかいペニスをパーカーは口にした。包皮をむいて、まだ小さな亀頭をなめる。 わたしは鼻でバギナの入口を突いた。舌で左右のひだをなめると、匂いが強くなって来た。ひく、また肛門が動いた。 「さて、準備ができました」 そう言って、パーカーは顔を上げた。手にするペニスは完全勃起、破裂寸前の風船だ。 腰を上げ、ペニスの上に移動。亀頭をバギナの入口にあてがう。 今日はゴム無しでの挿入だ。ついにやった、感動がペニスから脳天まで来た。 ぷつっ、バギナが音をもらした。 わたしがなめた時、バギナが開いて空気が入っていたのだ。ペニスが入って、空気が漏れる音だった。 パーカーはゆっくり腰を上下させた。ゴムが無いから、粘膜と粘膜がこすれる刺激で、頭まで痺れてきた。 どくん、精液が尿道を駆け上った。 「ああっ、来ました、射精です」 パーカーが実況中継の声を上げた。 と、素早く腰を上げ、ペニスを抜いてしまった。 ぴゅっ、ぴゅぴゅっ、精液が尿道口から宙に舞った。おお、と歓声が出た。 空射ちだ。ちょっと悲しくなった。まったく、情より理性が強い女だ。 パーカーの尻越しに見ると、客席にいたはずの婆さんたちが、間近に来ていた。かぶり付きの見物である。 もう1度、の声があった。 わたしに異存は無い。後ろからパーカーに抱きつき、戦闘再開。 たっぷり時間をかけ、7つほどの体位を披露した。2度目の射精は最後の1滴まで、残らずパーカーの胎内に射ち込んでやった。 翌日から、朝の精液採取は助手のドリス・ナイトがした。 始めの3日はパーカーが指導して、4日目からは彼女だけでした。 ドリスとは毎日する。ゴム付きながら、48手を試した。ついにはアナルも攻略した。 彼女が子を産む決断をするには、半年もかかった。 最初の妊娠はジュリアだった。これも若さゆえだろうか。 学会での披露が効いたのか、自然授精実験への志願者が多数現れた。 最年少は18才、妊娠可能性が高い年頃だ。 わたしより筋肉たっぷりな女も志願して来た。グレン・コーは23才、ボデイビルのチャンピオンだとか。でも、股を開けば、確かに女だ。ペニスが入るバギナが、極濃な陰毛に守られてあった。 なんだかんだで、被験者は30人になった。1日に1人だから、1人と次に出来るのは1ヶ月後だ。 わたしが惑星カロンに来て1年半が過ぎた。 予告された平均余命は1年。それから考えると、ずいぶん生きた事になる。 この頃は、毎週のように出産の報告が来る。何人の子の父となったのか、両手に余るのは確かだ。グレン・コーは双子を産んだ。 1週間ほど微熱が続いた。 その日の朝、5人目の精液採取係ポール・アランとしていた。巨乳なのでパイずりフェラが心地良い。 ぐぐっ、ペニスを熱いものが走った。 きゃあっ、ポールが悲鳴を上げた。コンドームの頭に赤い液体が出て来た、血だ。 ついに、その時が来た・・・ 実験は中止された。 翌週、わたしは寝た切りになった。 女たちが子連れで見舞いに来てくれた。ジュリアは大きな腹で来た、2人目を妊娠中。 良き人生とは長さではなく、何を成したかである・・・本で読んだ言葉浮かんだ。子を産んだ女たちが幸せなら、わたしも幸せだ。 ブラウン大尉は臨月の腹で来た。母となった笑みに癒やされた。 排泄もままならず、オムツを着ける。呼吸ができず、酸素吸入が始まった。 最期が近い。 時間の感覚が消えていく。倒れて何日過ぎたのか、よくわからない。 パーカーが枕元に来た、久しぶりの顔だ。 「あなたに見せたくて、連れて来ました」 赤ん坊を胸の上に置いた。 幼い笑顔は万病の薬、久しぶりに目を大きく開いた。 パーカーは幼子の服を取り、裸にした。と、その股に有り得ない物があった。 「理論上、有り得る事でしたが。まさか、わたしが産むとは」 幼子の股にはペニスが・・・まだまだ小さいが、確かな男の証が付いていた。 XX染色体は男女すべての遺伝情報を含んでいる。条件が整えば、XX染色体を持つ男が産まれる。 「アダムと名付けました」 「アダム・・・」 わたしは、もうすぐ死ぬ。 だが、アダムがいる。この星で産まれた唯一の男だ。 わたしは目を閉じた。 心臓がゆっくりと動く。もうすぐ止まるだろう。 また目を開け、手を伸ばした。 筋肉が落ち、骨と皮だけになった指をアダムがつかんだ。ぎゅうっ、強い力だ。 わたしは生を実感した。 < 終わり > 昔々、エロゲーのシナリオを考えた事がありました。 その残り香ですね。 2015.3.28 OOTAU1 |