邦楽新譜チェックの方法

1999年夏


●邦楽新譜チェックの方法・考
 皆さんはどのようにして新譜のチェックをしていますか?どのような番組を利用していますか?テレビでチェックする人は、TBS土曜深夜に放送されているカウントダウンTVや、HEY!HEY!HEY!内のランキングあたりでしょうか。ラジオの場合は週末の各種ランキング番組(ベスト50など)などではないでしょうか。
 これらの番組はあくまでランキング番組であって、売れ筋曲のチェックにはいいかもしれませんが、まだ無名のアーティスト達がリリースする曲(結構いいものもある)までは大抵カバーしきれていないのが現状です。


●ミュージックスクエア
 NHK-FMで月曜から金曜のpm.9:00ー10:35(金曜はベスト20の発表)に放送されているミュージックスクエアという番組を聴かれている方もいると思います。この番組はNHK系ラジオ番組の中では、もっとも長い時間に渡って、幅広くJ-Pop新譜を扱う番組です。
 DJの中村貴子さんがDJにしては( 赤○泰彦のような、妙に勘違いしてたり態度のえらそーな DJ が多い中で )珍しく騒がしくないDJである、メジャーからマイナーまで割と幅広い選曲、さらに曲を始めから終わりまでフルコーラスでかけてくれる、ーーーという質の高い音楽番組だと思います。

 ただし、この番組にしても新譜のチェックという観点ではまだ不満があります。時間的制約から全新曲をカバーできないことはしょうがないにしても、

  ・同じ曲を4、5回かけることがあるのに、1回もかからない曲が多い−−−DJの中村貴子さんの趣味なのか?マイナーな男性Voのバンドものはよくオンエアするのに、女性アーティストの曲はほとんどかからない。くるりやイエモンの曲は必ず3回以上かける一方で、上田まりさんや泉川そらさんの曲は完全無視−−−

という点は、個人的な嗜好のせいもあり、残念なことです。また、

・よく取り上げられる曲のリクエストのハガキが青臭い−−−この曲で人生が変わったとか、感動して涙したなど、この類のハガキ−−−も、延々と続くとウンザリしてしまいます。


●Japanese Dream
 そんな中で私が一番重宝しているラジオ番組は「ジャパニーズドリーム」、通称「JD」というNACK5(埼玉を中心としたラジオ局)毎週土曜日22:00-25:00までの3時間番組です。
 この番組では、原則としてその月の15日から次の月の14日までに発売される邦楽新譜を、1週目と2週目で全てオンエアします。3週目はその中で評判のよかった30数曲を発表し、4週目ではベスト20の発表とアーティストへのインタビューを行います(5週目は何かの特集だったはず)。
流石に1週目と2週目でのオンエアは時間的制約によりワンコーラスだけですが、リリースされる全シングル(原則。番組の宣伝文句)を流してくれるのでポイント高いです。また大抵の曲はリリース前に流れるため、タイアップ等の効果をできるだけ減らして、純粋に良い曲を選べるようになっています。このような、全ての曲に平等にチャンスを与えたいという番組の理念は大いに共感できます。

 ただし、非常に残念なことに不況のあおりを受けて(?)スポンサーが撤退してしまい、当初は全国独立系FM4社の共同制作だったものが、1999年4月からNACK5(つまりは関東圏だけの放送になってしまいました。私はよく北海道に長期滞在するため、FM NORTH WAVEが放送終了したのは大きな打撃でした。

 こんな「ジャパニーズドリーム」(通称JD)にも敢えて苦言を言わせて貰えば、番組プロデューサーである富澤一誠さんのコラムは時間の無駄であること、番組ラスト20分程のアーティストピックアップのコーナーは不要であること(4週目のインタビューとかぶっている)、長谷川雄啓 / 藤沢香苗の両パーソナリティーのコーナーも不要なこと、パーソナリティーのコメントがいつも寒いこと、パーソナリティーの「この番組のリスナーは耳の肥えた人が多くてーーー」という鼻にかけた発言が耳障りなことーーーー位しか見当たりません(かなり書いてしまいましたがね(^^;))。
 つまりは余計なコーナーを減らして、もっと新曲の放送に特化してほしいということです。


●Japanese Dreamで抜けている曲たち
 それではJDを聴いていれば本当に全ての新譜をチェックできるのか?というと、実はそうもいきません。
 まず「Japanese Dream」オンエア時に音源未完成の曲が毎月数曲あり、さらには放送解禁日をセットしてある曲も同じく毎月数曲あります。後者はアサヤン系や野猿、ポケビなどです。番組の理念を受けてエントリー辞退の曲もあります(ミスチルとゆず位かな?)。そして、最大の盲点となっているのが「アニメ、声優、アイドル、企画物などの曲が扱われていない」ということです。個人的にはこれが一番痛い!

追記:よーく調べてみると、それ以外にも「Japanese Dream」で扱われていない曲が結構あります。アイドルの曲は、大抵何も言わずに除外されていますし、マキシシングルやマイナー新人デビュー曲でも漏れるものが毎月必ず数曲あります。)


 アニメ、声優の曲ーーーいわゆるアニソンのマーケットでは、ここ数年の声優人気を受けてか高品質の曲が多くなっているように思われます。近頃のヒットチャートには椎名へきる、奥井雅美、林原めぐみさん達の曲がランキングしているので、ある程度ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、アイドルや企画物にも有能な作曲&プロデュースチームが携わることが多くなっていて、中には目を見張るような出来の曲も存在してます。「金のなるアイドルには良い曲が提供されるものだ」という言葉には一理あると思います。というか、これはいま私が作った言葉ですが(笑)。これらアニソン、声優、アイドル、企画物の曲は普通の曲より一段低いものと見られがちですが、アーティスト自体を悪く言うのはともかく、曲自体の価値まで批判的に受け取る姿勢は疑問に思います。



●アニソン関係の曲チェック
 「アニソン・声優ソング」を網羅的に扱ってくれる番組は現在ありません。「マルチメディアカウントダウン」 (通称ドリカン:文化放送(AM:1134kHz)毎週土曜日 23:00〜24:00 ) という番組がアニメ・声優・ゲーム関連の曲をカウントダウン (ベスト10) してくれるのでアニソンチェックには1番なのですが、時間帯がJDと重なっているのが致命的です(;_;) 。さらにこの番組、狭い意味でのアニソンにランキング曲を限定していないため、アニメのテーマソングになったB'zや安室奈美恵の曲までランクインしてしまうのも難点です。

 結局アニソンまでチェックするとなると、30分番組でよく文化放送で深夜にやっている「声優ラジオ」を聴かなければならないのでしょうか? とは言っても普通はそこまでする気も時間もありません。それにこの種の番組はラジオドラマがメインのため、30分で曲は1曲しか流さないのが普通です。CDをレンタルした方が早いです。私もアニソンまでは充分に手が回っていないのが現状です。


●さいごに〜専門媒体〜
 最後に、ケーブルテレビの音楽番組について。スペースシャワーTVというチャンネルを私は見ることができます。このチャンネルの良い所は何と言ってもミュージッククリップを見ることができる点でしょう。ただしチャンネルの内容は雑然としていて、どの番組を見ればどのアーティストを見られるのかハッキリしていません。さらにWebページの構成が分かりにくいため (http://www.sstvnet.co.jp/)、Webページから有用な情報を引き出すのも大変です。ページ内のアーティスト検索も網羅的なものではありません。また、たちが悪いのがこの番組を貫く「オシャレで前衛的な雰囲気」( 作り手側は大きな勘違いをしている?) でしょう。自己チャンネルCMの出来の悪さとセンスの無さは目を覆わんばかりでした。
 以上のように、この有り様では”今のままでは使い物にならない”という評価を与えざるを得ません。ただし今はケーブルテレビの黎明期ということを考えると、今後の充実には期待がもてるメディアです。


※1 ここではあくまで「それほど金をかけずに新譜をチェックすること」にこだわっています。そのため敢えて有線放送は除外しています(興味はものすごくありますが)。また、電話によって新曲をチェックできるサービスもあるようですが、私はまだそれに疎いため、これも除外しています。電話サービスについて、あるいは「もっと良い新曲チェック法を知っている」という方がいらっしゃれば、是非メールをください。


※2 理想を言えば、アメリカで行われているようなインターネット上でのミュージック・オン・ディマンドが実現されればいいのですが、日本ではまだ時間がかかりそうです。その理由として1つに著作権を巡る法整備、2つ目はジャスラックがあまり熱心な団体には見えないこと、3つ目に技術的問題、が挙げられます。ただ、リアルオーディオにしろMP●にしろ、本当に便利な時代になったものだと実感しています。


追加。
TBSラジオの平日深夜3時から4時まで放送されている「 RIDE ON MUSIC!」という番組は割と新曲をピックアップしてくれることが多く、直前にやっている伊集院光や爆笑問題のラジオ(月曜と火曜) を聴く人は一度チェックしてみてはどうでしょうか。って、起きてらんないか、普通。

さらに追加!
この「 RIDE ON MUSIC!」ですが、99年10月の改編後、内容がグンと充実してます。次から次へと、マイナー曲からメジャーな曲までかなり長い時間かけてくれるようになりました。今や、「ミュージックスクエア」よりもオススメな番組です。

なお、この番組のパーソナリティーは、ヤムヤムこと矢村貴子さん。