・ここで主人公が歌っているのは、主人公の祖母マリアがギーグの幼少期に聴かせていた子守唄である。マリアはギーグのことを「本当の子供のようにかわいがった」と語り、一方ギーグも「幼いわたしを育ててくれたマリア」「貴方の一族には本当にお世話になっています」と語っている。
・「醜い地球人(英語版:ugly Earth People)」「地球の虫ケラども(You puny little Earth bugs !)」とギーグが口にしているように、ギーグの種族にとって地球人というのは自分達よりも酷く劣った支配・征服されて然るべき存在なのだろう。
それでは、何故ギーグは子守唄を耳にしてここまで動揺し、苦しんだのか。何故、地球侵略から(一時的にせよ)撤退することを選んだのか。
ギーグ自らが「何故 この私が こんな歌に敗れたのだ」と言っている通り、その理由は本作では語られない。
幼少期に自分を育ててくれたマリアの愛情の象徴たる子守唄を聞くことによってギーグの心に揺らぎが生じたのではないか、というのが私の見方であり、また一般的な見解でもあるようだ。
・しかし、調べてみると話はそう簡単ではない。
一説にはゲームプロデューサーの糸井重里氏が「ギーグは元々音楽が嫌いだった〜」という旨の発言をしたとされる。そして、それを裏付けるように英語版「MOTHER」ではマリアは以下のように語っている。
「Oh ! Giegue ! I loved him... I loved him, as if he was my own child...
He was always wagging his tail, just like a pup...
EXCEPT for when I tried to SING him lullabies...」
・この作品のメインテーマは「宇宙人であれど愛情は一緒」なのだと解釈したくなるが(実際、そう捉えた方が感動できると思うのだが…)、なかなかどうして、真相は違うようだ。