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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第95杯「あさひかわ」と「あさひがわ」

毎年、日本弁護士連合会の最大のイベントとして人権擁護大会が開催されます。コロナ禍のため、昨年、鹿児島市で予定されていた人権大会は中止となりました。今年は、岡山市で2年ぶりに開催されました。ちなみに来年は、旭川市で開催される予定です。そこで、ぼくも岡山市へ人権大会の視察に行ってきました。

ところで、岡山県のほぼ中央を旭川という一級河川が貫流しています。「あさひがわ」と読みます。岡山県では最も長い川です。もうひとつ、岡山県といえば、桃太郎です。おばあさんが洗濯に行き、桃太郎が生まれたという桃がドンブラコと流れてきた川は、「あさひがわ」だと想像します。

北海道の旭川と岡山県のあさひがわとは、偶然の一致なのか、何か関係があるのか、考えました。手掛かりとなる事実として、以下の事実があります。

1988年までJR北海道の旭川駅の表記は「あさひがわ」でした。あさひがわ駅を知っている世代の中には、現在でも、この地のことを「あさひがわ」と呼ぶ人がいます。「あさひがわ」を略して「がわ」と言い、仕事で「がわ」に行ってくる、等と使います。

札幌から旭川方面に50キロほど行ったところに「岡山」という地名があります。札幌の南には広島という地名があります。釧路には鳥取という地名があります。中国地方からの移住者が自分の出身地を移住先の地名としたものです。鳥取県は岡山県の北部に位置しますから、鳥取から北海道に渡った人の中には、岡山県のあさひがわ流域に住んでいた人が含まれている可能性があります。

これらの事実から、ぼくは、岡山県のあさひがわ流域に住んでいた人々が鳥取から北海道に移住した、現在の旭川市あたりに住み着いた、旭川市は「川のまち」で、複数の川の合流地点になっているところ、あさひがわ流域からの移住者は、川が多い地域ということで移住先を「あさひがわ」と呼んでいた、そのうちに「旭川」という地名になった、という仮説を立てました。

北海道の旭川の地名の由来を調べましたが、岡山県の「あさひがわ」が北海道の旭川の語源となったとする見解は、見当たりませんでした。しかしながら、この仮説はあながち間違いではないと思いますので、ここに、ぼくのオリジナルとして発表したいと思います。なお、人権大会では、次年度開催地弁護士会が受諾の挨拶をするのですが、ぼくがこの仮説を披露して挨拶を行いました。