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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第94杯「ぼくのセオリー」

これまでのぼくの人生、様々な場面で様々な選択をしてきました。選択に悔いが残っていること、いないこと両方あります。司法試験の最中にも、答案に書くべきか否か迷うことがありました。ある時から迷ったときは、書くことに決めていました。書いて後悔するのと、書かないで後悔するのとでは、書いて後悔する方がましだろう、書かないで後悔すると一生後悔するだろうと考えたからです。

したがって、選択に迷ったときは、選択が誤りだった場合に後悔が少ない方を選択しています。極論すれば、死ぬときにあの時こうすれば良かったと思わないような選択、死ぬときに後悔しない選択をするよう心掛けています。これが、ぼくのセオリーです。司法試験続行か断念か、妻の妊娠を続行するか否か(妻が妊娠中に脳出血で数か月意識不明となり、その間に開頭手術したため、その影響が胎児にも及ぶ可能性があるとされていた)など、人生の分かれ道でも、このセオリーにしたがって判断しました。

このセオリーは、日常生活でも使っています。居酒屋に入店するか否か迷ったら、次に来ることがあるか、今、入店しないと死ぬときに後悔しないか自問し、あるメニューを注文するか否か迷ったら、次に食べる機会があるか、今、食べないと死ぬときに後悔しないか自問し、意思決定します。実際、盛岡に行った際、盛岡冷麺の元祖「食道園」に、ぼくは満腹でしたが入店しました。結果、後悔していません。逆に、和歌山に行った際は老舗のラーメン店に入店せず、その後、その店が閉店になったと聞いて、今も後悔しています。

駒大苫小牧が甲子園で初優勝した時、準々決勝で横浜高に勝ったあたりから、甲子園に行って観戦しようと思いました。今後、ぼくが生きているうちには、北海道の高校が決勝はおろか準決勝に出ることもないだろうと思ったからですが、他方で、たぶん負けるだろうと思い、結局、行きませんでした。現時点で最大の後悔です。
東京の神保町に「いもや」という食堂があり、とんかつ、天丼、天ぷらと、それぞれに店舗があり、司法試験受験時代、長いことお世話になりました。とんかつ、天丼の「いもや」は2018年3月末日に閉店しましたが、駒大苫小牧の時の反省から、閉店する前に東京までわざわざ行って、とんかつ、天丼、天ぷらと、「いもや」のはしごをしました。これで死ぬときに後悔しないで済みました。