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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第84杯「正直じいさん」

昔話や物語、時代劇、漫画で、じいさんは、ばあさんに比べて登場頻度が多く。個性的なキャラクターとして設定されることが多い気がします。ばあさんは、「桃太郎」や「かぐや姫」など「昔々あるところにおじいさんとおばあさんいました」という感じで、おじいさんとセットで登場することが多いと思います。

じいさんは「正直じいさん」として善玉・ベビーフェイス的役回りとなる傾向があります。これに対して、「欲張りじいさん」として悪玉・ヒール的な役回りのじいさんが登場することもあります。典型例は、「花咲か爺さん」です。

ばあさんは、じいさんに比べて、登場が少なく、影が薄い傾向にあります。ばあさん単独で主役になることは少なく、思い浮かぶのは「意地悪ばあさん」くらいです。「ちびまる子ちゃん」でも、おじいちゃんのさくら友蔵にくらべて、おばあちゃんの影は薄いです。さくらこたけという名前らしいですが、一般的には知られていません。また、ばあさんは、あまり得な役回りではなく、「カチカチ山」では、ばあさんはタヌキに杵で殴り殺されてしまいます。

じいさんだけ登場して、ばあさんは登場しないこともあります。「水戸黄門」で主役を張っているのはじいさんで、黄門様にも奥方はいるはずですが、諸国漫遊に同行したことはないと思われます。

「フランダースの犬」に登場する優しいおじいさんは、ジェバンという名前らしいです。「アルプスの少女ハイジ」に登場するアルムおんじは、若い時は荒れていて犯罪を犯したこともあったようです。いずれも連れ合いは登場しません。ハイジやネロは孫であり、ジェバンやアルムおんじが生涯独身を貫いているとは考え難いので、連れ合いとは死別してしまったと考えられます。女性の方が長生きなので、あまりない事例と言えますが、名作とされる物語では、じいさんが孫を育てています。

「大きな古時計」でも、おじいさんの生まれた朝に、時計を買ってきます。おばあさんの生まれた朝ではありません。おばあさんについては、「きれいな花嫁やってきた」とだけ言及されており、おばあさんの暮らしぶりについては言及がありません。おじいさんについては、おばあさんとの関係よりも時計との関係が重視されていると言えます。

このような結果となる原因として、昔は現在よりも、女性の社会参加が少なかった時代背景があるのかなと思います。