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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第75杯「贈る言葉」

ぼくと妻の間には、息子が1人います。妻の体調が良くなく、出産後も長いこと入院していた関係で、育児は、平日昼間はベビーシッターさんに頼み、それ以外は、ぼくの担当でした。やるしかない。気持ちは、長渕剛の「西新宿の親父の唄」。やるなら今しかねえ!

法律相談、裁判や調停への立ち合いといった業務で昼間はつぶれてしまうので、裁判文書は、育児をしながら作成しました。息子の面倒をみながら、あらすじを考え、独り言をブツブツ言いながら文章を考案し、息子を寝かせた後にパソコンに打ち込んで文章化し、一段落したら自分も仮眠を取るといった具合です。独り言は、さながら念仏を唱えているようであったと思われ、ブツブツ唱える法律念仏が子守唄代わりでした。息子は法律念仏を聞かされて、迷惑そうでしたが、そのうち、あきらめて寝てくれました。3時間ごとにミルクを与える時期は、法律念仏も3時間ごとに唱えました。我ながら、よくやりました。

息子も15歳となり、4月から高校生です。ぼくの気持ちは、河島英五の「野風増」。いいか♪男は大きな夢を持て♬

そして、「贈る言葉」。夢を実現する、奇跡を起こすには、あきらめないこと、新しい方法を試してみること、自分だけ成功しようとしないこと、「それが大事」です。

あきらめないことは、言うのは簡単ですが、初志貫徹することはとても難しい。人間、妥協して、その時点で先が見えていて到達可能な進路を選択しがちです。その方が賢明な場合もあります。

新しい方法を試してみること、これができない人が意外に多い。人の忠告に耳を貸さず、自分のやり方に固執すると、自分のやり方が誤りだった場合、どんなに努力しても、夢は実現しません。新しい方法を試してみても、今までやってきたことが全て無駄になるわけではありません。新しい方法も元のやり方も基礎は同じだからです。そこのところを理解できない人が多い。新しい方法が合わなければ、元のやり方に戻せば済む話です。

自分だけ成功しようとすると、知らない人と会話する必要がなく、その結果、同じ夢を目指す好敵手である友達ができにくく、孤立しがちです。孤立すると、壁にぶつかったときに自力で何とかしようとして、間違った方向に行ってしまい、ドツボにハマります。「蜘蛛の糸」のカンダタのように自分だけ助かろうとして、結局、地獄に戻ることになります。