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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第71杯「結願(けちがん)」

「結願」とは仏教用語で、ある修業が完了することをいいます。例えば、四国八十八ケ所霊場巡礼の場合、お遍路さんが八十八ケ所目の霊場を訪れてお参りしたら「結願」です。 ぼくが、居酒屋に興味を持ち、1人で居酒屋を訪れるようになったのは、2007年ころからです。それまでは、1人では飲みに出ず、通信販売で酒と肴を取り寄せて宅飲みを楽しむ程度でした。宅飲みをしている時、たまたま、ただ居酒屋で酒を飲み、肴を食べるだけの番組がケーブルテレビで放送されていることを知り、この番組を視聴するようになり、過去の放送分のDVDを購入したり、居酒屋を紹介している書籍を購入したりして、居酒屋と地酒と地肴に関する情報を仕入れるようになりました。こうなると実際に居酒屋に行ってみたくなり、手始めに旭川市内の居酒屋、続いて札幌や道内の主要都市の居酒屋、そして日本各地の居酒屋を意識して訪れるようになったのです。那覇や八丈島などは居酒屋に行く目的だけのために訪れました。そのうちに、全都道府県の居酒屋を踏破することを目標とするようになり、「全国四十七都道府県居酒屋巡礼」として、修行と位置づけ、居酒屋巡りを正当化しました。霊場巡礼では、訪れた霊場で御朱印をいただくのですが、ぼくの居酒屋巡礼では、訪れた店で名刺をいただくことにしています。  今年5月に平成から令和に切り替わった段階で、宮崎県、鳥取県、島根県が残っており、この3県は訪れる機会がなさそうなので、次のように踏破しました。まず、宮崎県。福岡県で用事があった際、鹿児島空港から九州入りして、高速バスで宮崎駅に向かい、絶対外せないチキン南蛮を老舗の「味のおぐら亭」で、地鶏の炭火焼きを駅前の居酒屋で食べてビールと地焼酎を飲み、冷や汁をお土産に購入した後、高速バスで福岡入りすることで踏破しました。鳥取県・島根県については、高校野球観戦の前日、伊丹空港に降り立ち、伊丹空港から島根県の松江駅行の高速バスに乗車して松江駅に到着、「やまいち」という名店に直行して、宍道湖七珍を肴に一杯やってから、JRで隣の鳥取県米子駅に移動、米子に泊まって居酒屋とバーをはしごしました。そして次の日に、甲子園(開幕日)入りして観戦するという超強行軍でした。 こうして足かけ10数年かけて、ついに居酒屋探訪全国四十七都道府県を踏破し、「結願」しました。