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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第67杯「名将の投手起用」

甲子園での北海道勢のベストゲームといえば、2006年夏の駒大苫小牧と早稲田実業の延長15回引き分け再試合が真っ先に思い浮かびますが、ぼくの中では、2005年夏の準決勝の駒大苫小牧と大阪桐蔭の試合です。この時の大阪桐蔭は150キロ超のサウスポー辻内(巨人ドラフト1位)を擁し、辻内、平田(中日ドラフト1位)、中田(日本ハムドラフト1位)の3人で超強力クリーンアップを組んでおり、駒大苫小牧は、どう考えても戦力的に劣っており、試合前の予想では、大阪桐蔭が圧倒的に有利とされていました。ここで名将香田監督は、当時2年生で背番号11の控え投手だった田中将大(現ヤンキース)を先発に起用し、6回まで大阪桐蔭を完璧に抑え、5点をリードする展開で終盤に入りました。7回8回で大阪桐蔭が底力を発揮して同点に追いつくと、大阪桐蔭が後攻めということもあり、さすがに厳しいと思いましたが、香田監督は軟投派の吉岡をリリーフに送るという妙手で、勝ち越し・サヨナラを許しませんでした。延長10回表に駒大苫小牧・辻がライト線に勝ち越しタイムリーツーベースを打った時はテレビの前で心の底からバンザイしました。10回裏もピンチでしたが吉岡が平田を空振り三振にとってゲームセット。痛快でした。この試合が北海道勢のベストゲームと思います。 ぼくの中では、名将といえば香田監督です。日本ハムの栗山監督は今年、先発投手を2~3回で降板させる「ショートスターター」を試みていますが、うまくいかないようです。そういえば香田監督も同じようなことを甲子園でやっていました。2006年の夏、香田監督は、田中将大という大エースを擁していながら、勝負所では先発させず、控え投手を先発させて一回り程度投げさせ、その後、満を持して田中を送り、最後まで投げさせていました。決勝再試合では敗れはしましたが、それまでは成功していました。栗山監督の「ショートスターター」は、小刻みにピッチャーをつなぎますが、香田監督は救援したエースが最後まで投げる方式です。香田監督方式の方が良いと思います。日本ハムもペナントレース後半戦は、中継ぎ陣の1名を先発で起用し、金子や加藤、杉浦らスタミナに不安のある先発陣を2番手で起用し、行けるところまで投げてもらい、8回9回は宮西・石川直・秋吉の勝ちパターンの継投を行うべきことを提案します。