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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第66杯「出所饅頭」

司法試験受験時代、7月末の論文試験が終了した後、合格発表までの約2か月間は、結果が気になって勉強が手につかなくなりました。本当はここでしっかり勉強する人が早く合格するのですが。ぼくは、この間を利用して、8月は旭川に帰省していました。ある年、大学の同級生で、やはり司法試験受験生の友人が遊びに来たので、道東方面に観光に連れて行きました。博物館網走監獄に行って、その友人は合格して受験生活から脱出(=出所)したいという願いを込めて「出所饅頭」を買いましたが、ぼくは、買いませんでした。果たして、その年の合格発表でその友人は合格し、ぼくは不合格でした。網走監獄で出所饅頭を買わなかったことが不合格の一因であると考え、今度、網走監獄に行くことがあったら必ず、出所饅頭を買おうと決意しました。その後、そんなことはすっかり忘れて、受験生活を送っていましたが、平成11年度は、答案練習会で思うように点が取れなくなり、翌年は受験科目が変更になることが決まっており、逆風が吹き荒れていましたので、とにかく悔いを残さないように、担げるゲンはすべて担ごうと思いました。そして、出所饅頭のことを思い出し、論文試験終了後、出所饅頭を買うだけのために、長いこと一緒に受験勉強していた友人と2人で網走監獄へ行って、出所饅頭を買いました。果たしてこの年の結果は、網走監獄で出所饅頭を買ったぼくと友人は、2人とも司法試験に合格しました。この話を、研究室の後輩にすると、迷信だと言って相手にしない者がほとんどでしたが、そう言いつつも、論文試験後にわざわざ網走監獄に行って出所饅頭を買った者もおり、その者は、やっぱり、その年に合格しました。まあ、ある程度、論文試験の出来に手ごたえがあったから、網走監獄まで行く気になったのであろうし、初学者が出所饅頭を買いに行っても合格することはないでしょうから、網走監獄での出所饅頭購入と司法試験合格との間に因果関係はないとは思います。が、ぼくの知人友人で、出所饅頭を買いに網走監獄へ行った者は、10数人いて、全員、2年以内に司法試験に合格しています。「信じる者は救われる」程度の精神的な効果はありそうですので、司法試験に限らず、どうしても結果が出ない場合は、ダメもとで網走監獄へ出所饅頭を買いに行くことを試してみる価値はあると思います。