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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第46杯「水戸黄門」と「フランダースの犬」

ぼくが、現代以外で生活してみたい時代は、江戸時代後期の文化文政年間です。江戸の庶民の生活は、結構、楽しかったと思います。寿司や天ぷら、うなぎの蒲焼きといった料理法は、既に開発されていた上、食材は全て天然物を使用するし、化学調味料もなかったから、現代よりも本物の味が楽しめたと思います。ビールは当然ありませんので、ビール狂のぼくとしては残念ですが、日本酒はすべて純米酒で、醸造用アルコールその他の添加物が入っていない、ちゃんとした日本酒が当たり前に愉しめたのだろうと思います。「鬼平犯科帳」では、鬼平こと長谷川平蔵が料理屋に入ったら出てくる軍鶏鍋や燗酒が実に旨そうで、鬼平と言えば軍鶏鍋の印象、ストーリーは二の次でした。飲んだ後は、蕎麦の屋台で蕎麦を食べて帰ります。ラーメンがないのは残念ですが、健康には蕎麦の方が良いでしょう。茶店で饅頭や団子を食べるのも風情があっていいですな。歌舞伎や落語の公演もあり、相撲の興行も行われていて至れり尽くせりです。テレビで時代劇をほとんどやらなくなりましたが、ぼくは、「水戸黄門」が大好きで、司法試験を受験していたときにも再放送の「水戸黄門」をビデオに撮って、寝る前に酒を飲みながら見るのが楽しみでした。どこが好きかというと、助さん格さん、弥七、お銀、八兵衛といった脇役が、毎回、お決まりの役柄を演じ、黄門様の印籠が出てきて決まり文句、最後は必ず勧善懲悪、ハッピーエンドというワンパターン、安定感、安心感です。今秋、「水戸黄門」が武田鉄矢の黄門様で、週1BS―TBSで復活します。説教くさい黄門様が予想されますが、とても楽しみです。日本の時代劇と対照的なのが、ヨーロッパの童話です。これはいけません。スッキリしません。「フランダースの犬」がその典型です。主人公ネロは、祖父と死に別れ、放火犯の濡れ衣を着せられ、家を追い出され、努力しても報われない等、コゼツ(アロアの父親)にひどい仕打ちを受け、最後には忠犬パトラッシュとともに凍死してしまいます。ハッピーエンドで終わるような、続編が必要と思います。