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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第27杯「私と大相撲」

ぼくの人生の節目節目で、不思議と大相撲においても世代交代がみられました。高校時代、ぼくは数学が苦手だったので、文系を選択して大学は法学部へ行って、将来は司法試験でも受けてみようかと考え、初めて司法試験を意識しました。ちょうどそのころ、千代の富士が急に強くなって、北の湖に勝って初優勝し、あっという間に横綱になりました。ぼくが司法試験に真面目に取り組むようになったのは、大学4年生のとき(平成元年)からですが、そのころ、千代の富士が貴乃花(二代目)に初顔で敗れるということがあり、千代の富士時代の終わりとともに、ぼくは司法試験受験という長い暗黒の時代に突入します。貴乃花が強かったころは、司法試験合格は夢のまた夢という、先が全く見えなかった時期でした。貴乃花の強さに陰りが見えだした平成11年にぼくは司法試験に合格し、弁護士登録した平成13年に貴乃花は引退し、モンゴル勢の時代が到来します。ところで、弁護士会には、弁護士の使命である人権擁護と社会正義の実現(弁護士法1条)のため、実に様々な委員会があり、ぼくも消費者問題対策委員会や法曹人口問題を扱う委員会の会議等で東京霞ヶ関の弁護士会館に行っていました。あるとき、予定されていた会議が急にキャンセルになったことがあり、格安で購入した航空券について代金よりも高いキャンセル料を支払うのが馬鹿らしかったので、キャンセルしないで東京に行くことにしました。夜は居酒屋探訪をしようと思っていましたが、それまで何をしようかと思案していたところ、大相撲初場所が両国で開催中であることに気づき、相撲を見に行くことにしました。チケット売り場で「とにかく前の方」を所望したところ、「相席となりますが」「西のAマスの前から6マス目が用意できる」と言われました。土俵から近い順に溜席、Aマス、Bマス、Cマスとなっており、1マス4席ですが、そのうち1席を購入して入場しました。Aマスの4席を当日券でバラ売りすることなど今では考えられないことですが、相次ぐ不祥事で相撲人気がどん底の時期だったので、観客は少なく、結局、相席にもならず、1人で1マスを独占して、飲み食いしながら観戦しました。初場所とあって晴れ着の人も多く、貴乃花親方はじめ、引退した力士が場内整理で辺りを歩いており、国技館での観戦は実に優雅でした。