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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第25杯「不合理な話」

かつて司法試験には受験回数3回以内の人を200名程度優先して合格させる制度がありました。まず、試験の成績順に一定数を合格させ、その後の200名は受験回数3回以内の人を成績順に合格させるというものです。この結果、受験回数4回のAさんは1000番以内でも不合格となり、受験回数3回のBさんは1700番でも合格するという現象が生じました。なぜ、このような制度ができたかというと、司法試験が難関すぎて合格者の平均年齢が30歳に迫り、中には一生合格できずに人生を棒に振る人もいたことから、これを改善するためです。すなわち、若年者が合格しやすいようにと1980年代後半ころから、試験科目を減らす、試験の問題自体は基本的で平易なものにする、択一式試験は複雑化して作業量を多くする、といった手段が講じられました。これにより、細かい知識がなくても事務作業の得意な人、文字を早く綺麗に書ける人が合格しやすくなりましたが、受験生も対策を講じて対応してくるので解決には至らず、結局、受験回数3回以内の人に下駄を履かせることにしたということでしょう。ぼくは、この制度が導入された時点で受験回数3回を超えていたので、この制度の恩恵を受けることはできず、逆に前記のAさんのように自分よりも成績が下の人が合格するという経験を何回かしました。この結果、自分よりも成績が下の人に受験指導されたり、合格体験談を聞かされたりするという極めて不合理な状態に置かれました。今思い出しても、釈然としません。ぼくは合格できましたが、この制度のおかげで合格できず、いまだに合格していない人も実際にいます。死んでも死にきれないと思います。酒でも飲んで憂さを晴らすしかありません。ぼくは、ビールとソーセージの組み合わせをドイツ人以上に愛していると自負しており、いろいろな店に行きましたが、扱っているビールの質、ソーセージの質、プライス(値段)を総合すると、新宿駅東口地下の「BERG(ベルク)」が1番バランスが良いと思っています。ちょっと狭いですが昼も営業していてランチもやっています。