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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第22杯「起こり得ないこと、起こり得ること」

ぼくが、これからもう2度と起こり得ないだろうと思うことの1つに、夏の甲子園北北海道代表校の3勝してのベスト8があります。平成7年の旭川実業は、松山商、鹿児島商、銚子商を撃破し、準々決勝の敦賀気比戦も9回裏に4番岡田の2塁打で2点取った後の5番角井の打球がレフトに好捕されなければ(ヒット説も有力)、勝っていたでしょう。惜しかった。平成16年の駒大苫小牧の優勝は、当時、北海道のチームが夏の大会で優勝するなんてことは、人類が滅亡するまでに実現しないだろうと思っていましたので、本当に驚きました。平成17年も優勝、平成18年は引き分け再試合で準優勝であり、こんなことはこれからの高校野球では起こり得ないだろうと思っています。香田監督には国民栄誉賞を授与すべきと思います。もう一度、北海道内の高校で監督をやって欲しいです。日本ハムの監督でも良いと思います。心から応援します。 最近、司法試験考査委員である大学教授による司法試験問題の漏えいがありました。これは、駒大苫小牧の夏の甲子園14連勝、ほとんど3連覇と異なり、残念ながら今後も起こり得ると思っています。この大学教授は、特定の教え子に対して、問題を漏えいした上、模範解答を示したと思われ、教え子も模範解答を暗記して試験に臨んで、極めて完成度の高い答案を作成してしまったために漏えいが発覚しました。本件では教授も教え子もやり過ぎましたが、このようなことは以前から多かれ少なかれあったと思っています。近いところでは、平成19年に考査委員である大学教授が特定多数の学生に対する試験問題の漏えいが疑われたことがありました。急に若年合格者を増やしたりする大学も試験問題の漏えいが疑われます。これで割りを食って不合格にでもなったら納得できないでしょう。もっとも、考査委員である大学教授が自分の講義に熱心に出席する不特定の学生に対し、試験に出る分野を臭わせることは人間の情として仕方がないと思いますし、逆に試験に出る分野をわざと取り上げないことは、その大学教授の人間としての人格を疑います。ぼくも、受験時代、仲間と手分けして考査委員の講義に潜り込んで情報を収集したものです。概して、地方のロースクールは合格率が低いですが、これは、地方の場合、考査委員の講義に関する情報収集が困難であることにも原因があると思います。