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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第113杯「異次元の少子化対策」

先日、脚本家の倉本聰氏の講演を聴く機会がありました。「当たり前の暮らしを求めて」という演題で様々な話がなされたのですが、その中のひとつに、岸田首相が唱える「異次元の少子化対策」の実現方法として、子育ては祖父母にやってもらうというものがありました。人間は、社会の役に立っていないと生きがいを失う、仕事をしなくて良い、仕事をさせてもらえない高齢者に生きがいを与えるためにも、子育ては祖父母に委ねたらよい、子ども手当も祖父母に支給する、そこまでやってこそ「異次元の少子化対策」であると、述べていました。

ぼくの家族は、妻と子1人の3人家族ですが、妻は、妊娠14週目に脳出血を起こして、開頭手術して一命を取り止め、当時、おなかの中にいた長男も奇跡的に母体手術の影響を受けることなく無事で37週目に帝王切開で出生しました。妻は、開頭手術をしていますので、後遺症が残り、出産後は療養生活をしています。ぼくは、妻の療養をサポートし、子育てもする、仕事もしなければならないという状態となり、社会的資源を活用しても限界がありました。子育てについては、近くに住んでいる両親(長男にとっては祖父母)のサポートを得るようになり、奇しくも、子育てを祖父母に委ねる形となりました。長男が小学校に通うようになったころから本格化しましたので、10数年前から「異次元の少子化対策」を実践していたことになります。

ぼくの母親、長男にとって祖母は、元教員で非常に教育熱心な人であり、芸術的センスと学力の両方を伸ばすという方針で、ぼくもその方針で育てられたと思うのですが、ぼくの場合は、ピアノ等の情操教育を受けることを拒否し、学習塾には行かず、元教員である母親の指導の下に当時の学習指導要領に沿った?ツメコミ型の勉強をして、数学的思考を習得せず、暗記数学に走った結果、国立大学受験には失敗し、長い時間をかけて、何とか司法試験だけは通すという形になりました。

長男の場合は、もちろん本人の能力と努力が大前提ですが、情操教育を受け入れ、母親もぼくのときの反省からか、暗記に偏ることなく、医大生に教えに来てもらったり、予備校の講座も受講したので、受験では良い結果が出ました。両親(祖父母)に子育てを委ねることは、両親に生きがい・活力を与えるので親孝行にもなり、少子高齢化問題に一石を投じる妙案だと思います。