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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第110杯「昭和と西暦の使い分け」

ぼくは、現在56歳です。人生も残り3分の1位になりました。昭和時代に成人しており、いわゆる昭和の人間です。昭和の人間の特徴として、昭和時代については、西暦をあまり用いず、和暦・元号を用いる傾向にあると勝手に思っています。

ぼくの場合、生まれ年は昭和41年、西暦1966年ですが、昭和41年を用いることが圧倒的に多いです。年賀状も、もっぱら昭和表示を用い、西暦表示はあまり用いなかったと思います。学校の入学・卒業年次も和暦・元号を用います。世の中や自分の出来事についても、和暦・元号で整理しており、元号を用いて記憶を喚起する方が喚起しやすく、しっくりきます。このように昭和の人間が西暦よりも和暦・元号を用いる傾向は、平成に入ってからもしばらく続きます。西暦の場合、1900年代は、ひらがなにすると文字数が多く、言いづらいので、和暦・元号を用いたのかも知れません。ぼくは、平成11年に司法試験に合格していますが、1999年合格と西暦を用いることはあまりありません。

ところが、昭和の人間も2000年以降は、西暦を用いるようになり、和暦・元号を用いることが少なくなったと思います。ぼくの場合、司法修習は平成12年、弁護士登録は平成13年ですが、それぞれ、2000年、2001年と西暦を用いることが多く、その方がしっくりきます。なぜなのか。2000年以降の西暦は、ひらがなでの文字数が少なく、言い易いからなのか、10年ひと昔、2000年以降は、最近まで昭和だったという感覚がなくなった、昭和は遠くなった、昔になったということなのか。世の中、だんだんと縦書きから横書き傾向となったことも関係していると思います。難解な法律用語を縦書きしていた司法の世界も例外ではなく、横書き傾向が現れました。司法試験の答案や裁判関係文書も、20世紀は縦書きだったのが、21世紀になるや全て横書きになりました。ぼくは2000年から2001年になった時、司法修習生で、もっぱら裁判関係文書の作成練習をしていましたが、これに使用する書式は2001年の1月から横書きになりました。法律の専門書、実務書なども横書きのものが増えました。横書きが主流になり、それとともに西暦が主流になり、和暦・元号が用いられなくなったのではないかと推察します。そのため、昭和の人間は、2000年より前は、和暦・元号を用い、それ以降は、西暦を用いて世の中や自分の出来事を整理・記憶する傾向にあるのだと考えています。