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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第11杯「第二回試験と弁護士登録」

実務修習(修習地は札幌でした)を終えると、司法研修所(埼玉県和光市)に戻って、後期集合修習です。第2回試験の準備のため、もっぱら各科目(民事裁判・刑事裁判・検察・民事弁護・刑事弁護)の起案とその講評が中心となります。第2回試験は、1日1科目の起案と、全起案終了後の口頭試問で、全てを終了するのに10日程度を要します。ぼくの時は9月20日くらい試験が終了し、10日後位に結果発表、発表の翌日が最終講義と謝恩会でした。後期も相変わらず、起案の成績が悪かったので、第2回試験については起案の復習をしっかりして備えたこともあり、大きなミスがなかったので、合格できました(もっとも、当時は不合格となる者は各クラスに1人いるかいないかで、落とす試験ではなかった。)。受験番号が1番違いの人が不合格となっていて、結果発表の時は一瞬、自分が落ちたのかと思い、焦りましたが、事なきを得ました。不合格になったらどうなるのか、気になるところですが、当時は、数か月後に追試があって、これにも不合格になると、翌年の第2回試験を受験することになりました。現在は、追試がないので、不合格になると1年浪人することになります。不合格になると、もちろん弁護士登録はできず、司法修習生の身分もなくなるので、収入が途絶えます。そのため、研修所で同クラスの有志がカンパする慣行がありましたが、近年は、第2回試験も不合格者が増え、以前とは性格を異にする試験となっていますので、現在でも、そのような慣行が維持されているのかわかりません。何はともあれ、ぼくは、合格できたので、弁護士登録となりますが、旭川弁護士会に登録しました。当時、東京・大阪及びその近郊、札幌や福岡等の高等裁判所所在地以外に登録することは、とても珍しく(同クラスでは、ぼくともう1名しかいませんでした)、しかも、出身地とはいえ、日本最北で登録者も最少の部類の弁護士会に登録することについては、「何が悲しくて、そんなところに行くのか」と言われ、思いとどまるよう、言われましたが、東京や札幌を経由してからではなく、最初から、地の利がある出身地に登録した方が良いと判断し、旭川弁護士会に登録しました。弁護士人口が増え、大都市圏ほど弁護士飽和状態となっている昨今、当時のぼくの選択は、今のところ正解と思っています。