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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第103杯「合格できない理由」

ぼくが受験していた旧司法試験は、合格するのに4000時間の勉強が必要とされていました。1日8時間勉強すれば500日で合格できる計算となりますが、1日8時間のアベレージをキープすることは困難です。周囲からよく勉強していると評価されていたある合格者は勉強時間を計測していましたが、休日を入れて気分転換したり、他の用事もあったりして、どうしてもアベレージが落ちる、1日7時間、1か月で200時間勉強するのがいいところと言っていました。ぼくも勉強時間を計測したことがありますが、驚くほど勉強時間が少なく、1日5時間のアベレージ、1か月で150時間くらいの勉強時間でした(試験前後の期間を除く)。合格に必要な勉強時間をクリアするには800日、2年以上を要します。ぼくは、大学を出てから10年目に司法試験に合格しています。合格に必要な勉強時間を800日でクリアしたとして、それよりもはるかに長い年月を要した原因を考えてみました。

まず、要領が悪く、暗記重視の勉強をしていたことがあります。論点が100個あったら、100個全部覚えるという勉強方法で、これをやると知らない論点が出題されるとお手上げになり、大失敗をやらかすリスクの高い勉強方法です。基本的知識から推測して解答を導くという方法を身につければ、知らない論点でも、理論的には筋の通った解答を導くことができ、大失敗を避けられます。これに気づいていなければ合格できなかったかもしれません。

合格には運も必要で、ヤマを張ってある程度当たらないと合格できません。1年に1回の試験なので運が良くないと何年も余計にかかります。運が悪いと永遠に合格できません。実際、ぼくの場合は、合格した年にヤマが大当たりしています。運が10年目に巡ってきたといえます。

調子・バイオリズムのピークを論文本試験に合わせることも大切です。もちろんぼくもそうしているつもりでした。しかし、ぼくは心配性なので、模擬試験でも全力投球しており、論文本試験前の模擬試験でも全力投球で臨んだため、ピークが模擬試験に来てしまい、論文本試験をピークが下り坂の状態で迎えてしまい、結果として、合格が何年も後れたと思います。模擬試験では成績が良いのに、本試験にはなかなか合格しない、あるいは合格できない人がいましたが、概して、常に全力投球して、模擬試験でも高得点に固執するタイプだったと思います。