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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第102杯「弁護士の業務活動」

弁護士業務は、裁判所に出頭して、当事者や証人の尋問を行うというイメージがありますが、法廷での主張や立証活動よりも、その準備である主張書面の作成に時間を使っており、日常は、書面作成することが主たる業務となります。書面は裁判期日までに提出すれば良いのですが、それでは、裁判の進行が遅れてしまいがちなので、書面提出に締め切りを設定する裁判官が多く、だいたい、期日の1週間前に設定されます。締め切りを無視する弁護士もいますが、ぼくを含め、多くの弁護士は、締め切りを気にしながら日々生活をしています。

書面の作成方法も十人十色です。ぼくの場合、行間を狭くして1ページの情報量を増やします。1ページの情報量が少ないと一度に視界に入る情報量が少なく、他のページに書いてあったことを引用していると、ページをめくったり戻ったりして該当部分を確認する作業が増えます。該当部分の内容を失念してしまうこともよくあるので、読みづらい上に読むのに時間がかかります。そこで、ページ操作の作業を減らすべく、1ページの情報量を増やしているのです。また、ぼくは、相手方から提出された書面や判決文は、縮小コピーして一度に視界に入る分量を多くして読んでいます。こうして眼を鍛えているので、老眼にはなっていません。

弁護士の中には、極端に行間を広くしたり、書面の冒頭で「はじめに」とタイトルをつけて、争点と関係のないこと、本文の要約など、書かなくてもいいようなことを長々と書いたりする人もいます。なぜ、こんなことをするのかというと、ページ数を増やすことで手間と労力をかけたと依頼者に説明したいのではないかと推測しています。別途、文書作成料が発生すると契約し、作成した書面のページ数にしたがって文書作成料を算定するとしているのかも知れません。

裁判所での期日の大半は主張整理の期日で10分程度で終わります。複数の弁護士が在籍している事務所では、1事件について複数の弁護士で担当することもよくあります。主張整理の期日は担当弁護士のうち1人が出頭すれば足りると思われますが、弁護士3名も4名も出頭することがあります。この場合、弁護士全員のスケジュールが一致せず、進行が遅れがちになります。なぜ、こんなことをするのかというと、出頭した弁護士人数分、出張旅費が支給される契約となっているからなのかも知れません。