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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第9杯「司法修習-集合修習(司法研修所)」

司法試験に合格しても、すぐに弁護士になれるわけではありません。司法研修所に入所して、実務に出るための勉強(司法修習といいます)をして、司法研修所の卒業試験に合格して、法曹資格を得て、弁護士になることができます。司法研修所の卒業試験は「第二回試験」と呼ばれています。いわゆる司法試験が「第一回試験」で、司法研修所に入所して「第二回試験」の受験資格を得るための試験ということになります(もっとも、第二回試験で不合格となる者は、当時はほとんどいなかった。)。司法修習は、埼玉県の和光市にある司法研修所での集合修習が最初にあり、その後、日本各地の地方裁判所に配属され(実務修習)、最後に、司法研修所に戻っての集合修習を経て、第二回試験を受けることになります。司法研修所での生活は、中学校生活に似ています。1クラス70名でクラス分けされており、時間割があって、日直が決まっていて、講義の前後に「起立、礼」と号令をかけたり、配布物があれば、これを配布したりします。クラス対抗のソフトボール大会や見学旅行もあり、卒業アルバムも制作されます。クラス代表やレクレーション係・アルバム係など中学校さながらのクラス人事が行われています。研修所の卒業式の後は、謝恩会もあります。30才を過ぎてからの中学校さながらの集団生活は、新鮮であり、懐かしくもあり、奇妙でした。研修所での講義科目は、「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」の5科目です。裁判官、検察官、弁護士それぞれの立場からの裁判書面の作成の練習(起案といいます)をします。刑事系が3科目あり、刑事訴訟法がわからないと非常に苦労します。ぼくは、司法試験で刑事訴訟法を選択していなかったことに加え、研修所入所前に起案のやり方について予習を全くしなかったので、分けのわからない起案をしてしまい、クラスで最初に民事裁判教官に呼び出され、もっと勉強するようにお叱りを受けました。しかし、放課後は、東京の法律事務所の見学に行っては酒食をご馳走になり、研修所に隣接する寮では、毎日、どこかで飲み会が開催されていたので、勉強する環境になく、成績が良くなるはずもありませんでした。成績が悪くても、研修所での前期集合修習は終了し、各自配属された裁判所がある地域(実務修習地)に引っ越します。ぼくは、札幌地方裁判所に配属されました。