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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第6杯「論文試験合格」

平成10年度も不合格となり、10月に西早稲田に引っ越して背水の陣を敷きましたが、論文答案練習会では思うように点が取れなくなり、択一試験の模試でも時間不足で解き切れなくなるなど、非常に不調で、そのような状態で平成11年度の択一本試験を迎えました。

平成11年度の択一試験は特に刑法が難問揃いで、時間をかけた割には正解を確信できず、特に刑法の中盤の3~4問が全く解答が出せず、全部3番にマークしました。刑法に時間をかけた関係で、憲法の時間が足りなくなり、一応、解答は出したものの、正解の自信は全くありませんでした。試験終了の時、「こりゃダメだ」と思い、真面目に職探しをしようと思いました。刑法で解答が出せず全部3番にマークした中盤の3~4問が全部正解という幸運で、択一試験には合格できました。7月の論文試験に向けて勉強しましたが、絶不調で答案練習では以前の様に点を取ることができず、もうこれは限界だ、どっちにしても今年で最後にしよう、とにかく悔いを残さないようにしようと論文本試験前に完全に開き直りました。論文本試験では、憲法がいまいちでしたが、それ以外は良い出来でした。特に3日目、最終科目の民事訴訟法は1問が出題が予想されていない問題でしたが、ぼくはヤマを張っていた問題で、もう1問は過去に答案練習会で優秀答案を書いた問題と同じでした。正直、民事訴訟法の答案を書き切れば合格できると思い、緊張して手が震えました。字がうまく書けなかったことを、今でも、刻銘に覚えています。何とか書き切り、答案を提出した時は、本当に充実した気分で「これでダメなら仕方がない」と思いました。論文式試験の合格発表は、9月末にあるのですが、今まで合格したことがないので、合格する自分をイメージすることができず、半信半疑でしたが、合格発表の時には自分の番号を見つけることが出来ました。合格できたらどんなにか嬉しいだろうと思っていましたが、2週間後に始まる口述試験のことが気になって、嬉しさより焦りを感じました。祝杯を挙げましたが、美味しかった記憶はありません。両親にも、電話で報告しましたが、口述試験の存在を言い忘れ、「まだ最終合格ではないこと」を伝えるため、もう1回電話しましたが、既に通話中でつながりませんでした。両親も舞い上がって、方々に電話をかけていたのだと思います。