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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第5杯「受験生活」

司法浪人時代、自分が合格するイメージが湧かなかったためか、よく変な夢を見ました。例えば、①「仲間と一緒に無人島に遊びに行ったところ、ぼくを1人残してみんな帰ってしまい、無人島に置き去りにされた夢(平家物語に登場する俊寛の気持ちがよくわかりました)」、②「司法試験に合格した夢を見ていたが、目覚めてがっかりしているところに補欠合格の通知が来て、大喜びしている夢(夢の中で夢をみていたことになります)」、③「ぼくがなかなか合格しないから、家族会議で家族全員(父母とぼくと弟)で受験することに決まり、父母と弟は合格し、ぼくだけが不合格となる夢」、といったところです。

逆に、合格してからも、「実はまだ合格していなくて、明日、試験が実施されることになり、焦って勉強を始める夢」を見たり、朝起きて、寝ぼけて、「受験会場に行かなきゃ」と思い、出かける支度をしたことが何度もあります。こういうのをトラウマというのかなと思います。

司法浪人時代の楽しみは、7月の論文式試験が終了し、合格発表までの間の2か月間でした。ぼくは、「表現の自由」、「学問の自由」「職業選択の自由」といった基本的人権の中に「酒を飲む自由」も含まれ、憲法で保障された重要な人権と勝手に考えていましたので、論文式試験終了後は「酒を飲む自由」を制約することなく、存分に権利行使していました。また、高校野球の予選や大学野球を見に神宮球場によく行きました。特に東都大学野球は、観客がほとんどいないので、ベンチの上でヤジを聞きながら観戦することができ、しかも現巨人の阿部慎之助や甲子園を沸かせた選手が出場していてとても面白かった。中大が運営している司法試験受験のための研究室に入れてもらっていたのですが、この時期は、研究室に行ってもあまり勉強しなかったですね。まあ、それが合格までに時間がかかった要因なのでしょう。

弁護士の特徴として、近眼率が非常に高いというのがありますが、これは受験時代に近眼になってしまうためです。ところが、ぼくは、目が丈夫で近眼にならなかったので、周囲の人間から「勉強していないのではないか」とよく言われました。今年は年男(丙午です)で7月に48歳になりますが、いまだに裸眼で不自由しません。老眼もまだきていません。