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世論遊論 『酒と泪と男と司法試験』

第3杯「司法浪人」

大学を卒業しても司法試験受験のために就職しないことを「司法浪人」といいます。司法浪人生活も4年目に入った平成5年頃に、酒は、脳細胞の老化を招くと誰かに言われて、一時、酒をやめたことがあります。しかし、酒を飲まないと、勉強にメリハリがつかないし、体にも精神衛生上にも良くないことに、すぐに気づき、脳細胞に対する多少の影響については、目を瞑ることにしました。

択一試験は、平成4年度に合格してからは、毎年何とか合格するようになり、論文試験へと進みました。論文試験前は、1日を1コマ6時間で4分割し、1コマを睡眠に、3コマを勉強に充てました。1コマ1科目で、各科目まんべんなく勉強し穴を作らないように心掛けました。論文試験は3日間に分けて行われましたが、1日目前夜は3時間、次の日は2時間、最終日前は1時間の睡眠で試験に臨みました。こうして天王山の論文試験が終了すると、毎年、春先に比べて体重が5~10キロ減少していました。ですので、いくら飲んで食べても太る心配はしなかったです(もっとも、そんな金はないが)。

論文試験は、合格者を含め上位1000人までがA判定、以下500人刻みでB~G判定で成績がつくので、自分のだいたいの順位が分かります。不合格でも1500番には入っていました。上位の700人強は合格するので、1500番に入っていれば、計算上は次の年に合格するはずですが、そうはいかなかった。分量が多い、努力系の科目(民法・商法・民事訴訟法)は得意だったのですが、法的センスが必要とされる科目(憲法・刑法)が不得手だったからです。また、法律選択で国際公法を選択したことも誤りでした。国際公法は、「海賊」とか「宇宙」とかが出題され、組み易しと思って選択したのですが、受験者が少ないため、考査委員も少なく、考査委員の好みが出題・採点に色濃く反映されました。平成6年度は、国際公法の考査委員が交代し、出題と採点傾向が一気に変わり、そのあおりで、国際公法が予想外に悪くて、不合格となりました。この年は、憲法・刑法が悪くなかっただけに惜しかった。仕方ないので、国際公法は、考査委員のいる大学へ、潜りで講義を聴きに行くことにしました。考査委員が講義した分野から出題される(考査委員の少ない国際公法では特に)と考えたからです。母校である中大よりも真面目に通いました。