・50kgの人用の数値を覚えておいて、適宜加減する方法が良いと思った。
・1日に摂る水分、栄養の目安
水分:1500〜2000ml/day (肝心腎に問題ない場合)
栄養:1500〜2000kcal/day (長期管理の場合)
数字が同じで覚えやすい。
正確には 30〜40ml/kg とかだが。
もっともこの数値を覚えていなくても、普段病棟で500mLの輸液を1日3本とか4本使ってたなぁとか、
80kcal=1単位(←この数字は覚える)の糖尿病の食事療法で、大抵の患者さんが17単位とか19単位だったな、とかから
すぐに計算できる。
・絶飲食 ⇒ 肝心腎に問題ない人なら、とりあえずビーフリード1500ml/dayとか使う。
ビーフのない頃はひたすらアミノフリード+VitB1製剤だった。便利になった。
・肝心腎に問題ある人なら、尿量その他に気をつけつつ 500〜1000ml/day?
<考えるポイント4つ>
(1)水分量 1500〜2000ml/dayが普通(30〜40ml/kg)。
(2)Na量 70〜100mEq/dayが維持量。よくある高血圧用食事オーダー:塩分制限7g→119mEqで類推可能。
(3)K量 20〜40mEq/dayが維持量。本によっては 20〜30mEq/day。40〜60という本も!
(4)栄養 400kcal/day(←この数字は覚える)入れておけば蛋白異化を防げる。一週間程度では1500〜2000kcal/dayに拘らずとも良い。
⇒前述のビーフ1500mlでは、Na=52.5mEq(少なめ)、K=30mEq(適量)、630kcal(>400mLはクリア) でまぁOK。
<単位換算>
各元素の分子量を覚えていればすぐ換算できるが、面倒なので数字17と13を暗記しておく。
NaCl 1g←→Na 17mEq
KCl 1g←→K 13mEq
ルーティンの製剤と量を覚えればこの数値すら不要になるが。
<各輸液製剤、500mLでの数値>
500mL単位としたのは、オーダーの基本単位なので。以下、Na量順。
製剤名 | 輸液量 | Na | K | glu | cal | 備考 |
生食 | 500 | 77 | 0 | 0 | 0 | Na多い=食塩4.5g、アシドーシスも怖い |
ヴィーンF | 500 | 65 | 2 | 0 | 0 | アセテートリンゲル+FreeのF、ラクテックより肝に優しい? |
ヴィーンD | 500 | 65 | 2 | 25 | 100 | アセテートリンゲル+DextroseのD。VeenはVein由来 |
ソルデム1 | 500 | 45 | 0 | 13 | 52 | 腎不全・熱傷・子供とかK注意の人に1号液って習ったね |
ソルデム3A | 500 | 17.5 | 10 | 21 | 86 | 維持輸液とくれば3号2000mL、Aの意味は無い(ソルデム無印と区別) |
ソルデム3AG | 500 | 17.5 | 10 | 37.5 | 150 | こっちはGlucoseのG |
ビーフリード | 500 | 17.5 | 10 | 37.5 | 210 | VitB1入り |
5%glu | 500 | 0 | 0 | 25 | 100 | 等浸透圧だとgluは5%になる。 |
・上表を見て分かる通り、水分1500ml/dayを入れるならば、
※3号液を選べば Na,K は問題ないこと
※NaClや乳酸リンゲル、酢酸リンゲルだと Naは明らかに多すぎでKは少なすぎ
になることが分かる。また、熱量に関してはどの輸液製剤を選んでも上記『末梢』輸液製剤では
1日1500〜2000kcal/dayには届かないことも分かる。ただし400kcal/dayの蛋白異化の水準はクリアできる。
熱量をあまり入れられないのは、浸透圧の都合による。
蒸留水など浸透圧が低いものは溶血をきたすのでこれを血管に入れるのは論外。
一方で浸透圧が高いもの(エネルギーいっぱいの輸液など)を入れると静脈炎で血管が潰れる。
静脈炎を考えるとgluは10%までなら許容範囲とされるが、これでも潰れるときは潰れる。
じゃあ結局、末梢点滴ではカバーしきれない1000kcal/day程度の熱量不足はどうするんだ?というと、一般的に
1〜2週間程度であれば、この程度の熱量不足は問題ない。
それ以上であれば、経鼻栄養、胃ろう、中心静脈栄養などを考えるがこれは後述する。
以上の基本を踏まえて、ここからは応用編。
<応用1:肝心腎が悪い人にはどうするか?>
肝→
心→水分+Na制限→3号液でやりくり。
腎→水分+Na制限+なによりK free→1号液でやりくり。
かといって、量を減らしすぎて腎前性腎不全なんてなったらシャレにならん。
量に関しては、
<応用2:ぶっちゃけ、長期栄養管理の患者さんに低Na血症が多いのはなぜ?>
経腸栄養や経鼻栄養だと特に著明。一説としては「」とあるが、この説は実証も反証も不可能。
<応用3:抗菌薬での補正>
抗菌薬は大抵100mlの生食で溶かす。これが1日4回もある場合は、これだけでNa必要量をほぼカバーできることになるのでバカにならない。
<応用4:end stageの管理>
end stageに多量の栄養をCVなどから補給するのは患者を苦しめるだけ、というstudyがあるため、
通常は末梢で絞り気味の輸液を続ける。
モヒで1日中眠ってる人にビーフリード1000ml/day、中には500ml/dayを続けた人もいた。
<応用5:本には不感蒸泄やら、熱が出たら水分をより必要とするなどの記述があるが>
・ドレナージで排液がガンガン出ているような場合は、当然その量を補正する必要がある。
→補正は余程の場合でないなら徐々に。大抵はおっつけで問題ない。
→例:出血量の2倍の細胞外液補充液、排液と同量の細胞外液補充液
・その他の例だと、重症でないならばいちいち熱が1度上がったから輸液を増やしたり、毎日尿量を調べたりなどは
実際は行ってない。理論派の大学医局系統がICUで、あるいは小児ではしてるらしいが…。
<応用6:小児は?>
<製剤の種類と投与時間、量を考える>
・GFO:胃腸を慣らすために最初に使うことがある。
・ハーモニック200,500:販売中止
医・ラコール200,400:
食・メディエフ300、400:Naが多いのが特徴。
・メイバランス300,400,500:
医・エンシュア250,500:蛋白3.5g
食・リーナレン:腎不全に。糖質↑、蛋白↓
・インパクト:
・オキシーパ:
#メディエフはNaが多い。
入院中はなるべく食品扱いのものを出す。
8割程度が水分。普通は1ml=1kcal。
通常のゴール:メディエフ300-400ml*3回/dayでは900-1200kcal、Na=(←)、K=
※入れる速度は?
※水で薄めるべきか?水を入れた後に栄養剤を入れるのがベスト?
・栄養剤は既に浸透圧調節されているので水で薄めるのは下痢対策にならないらしい。
この辺りはオーダーを出しても、担当する看護師さんや病棟によって流儀が色々あるので
実際にどう投与してるかは一応確かめる必要がある。